表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

藍の様子

おや、藍の様子が……?


3話です

「よう居村、大分ケガが治ってきたな」

「お蔭様でな」


 今回の事件の主犯である例の男は度重なるストーキングや暴力事件を行ったため退学処分になった。しかしそれよりも新たに気になることができた。

 そう藍についてだ。最近なにやら様子が変だと優大(ゆうた)は気になっている。今朝の登校の時もそうだった。


「藍~」

「え、なに??」

「やけにそわそわしているが大丈夫か?」

「う、うん! まったくもって問題ないわ!」


 そうは言っているものの、やはり藍はどこかぎくしゃくしている。彼は気になって自分の手を彼女の額に当てる。


「熱でもあるのか」

「!?」

「大丈夫……か?」

「ちょっと止めてよ! 人前で恥ずかしいわ!」

「え? お、おう?」


 少し赤面しながら藍は強い口調で言った。普段なら冗談っぽくけど少し嫌がるように言うはずなのにやはりなにか変だ。その原因が一向に分からない優大である。

 そしてもう一人藍の挙動に不審がる人間がいる。萌である。

 最近姉さんの優君に対する態度がどこか変だと彼女は内心思っている。

(この前だって……)


「姉さん」

「ぼー」

「姉さんってば!」

「え? 何!?」

「どうしたの、優君ばかり見て?」

「え? ううん。何でもないわ!」

「……」ジー

「な、何?」

「なんか優君への態度が変だよ? 何かあった?」

「べ、別にそんなことないわ! いつも通りよっ」

「……」

「…………なに?」

「別に……?」


 あんな姉さん今まで見たことないからよく分からないけど一般的にはあの行動は好きってことだよね? ……はは、まさか姉さんに限って……。

 ……。

 少し気をつけないとと心を引き締める萌であった。

 その頃その本人はというと、

(最近変よ私! 気づいたら優大のことばかり目で追っているわ!)

 廊下をカツカツと早歩きでクラスに戻っていた。


「あ、藍戻ってきたー」

「遅いよー、藍ちゃーん」

「う、うん。ごめんごめん。今何の話してたの?」

「え? あぁ、異性のどういうところが好きかって話してたんだー」

「へ、へえ~……」


 藍はちらちらと優大の方を見ながら、ついついドキドキする。


「やっぱり顔だよな~、顔!」

「いやいや、そりゃあ巨乳の方が重要」

「ちげーし。やっぱきゅっとしまったくびれでしょ」

「はー、これだから男子はー! そりゃあ外見も大切だけどさー、やっぱり性格だって、性格ー」

「そりゃそうだけどー。性格は次の段階じゃね?」

「いやいや性格こそ好きかどうかの分かれ目でしょ!? 相性でしょ、相性ー。やっぱりお互いの事をよく知りたいじゃんー。その人を知るのに外見は一瞬だけど、性格は永遠にかかるんだよ?」

「……」

「藍、藍ってばーー」

「え? 何!?」

「居村君がどうかした?」

「優大がどうしたの!?」

「いや、なんか居村君の方見てる気がして……」

「ううん。何でもない、何でもないわ!」


 そうよ。何でもないんだからと邪念を振り払う藍であった。

 ある日の授業終わり。


「今日の日直が職員室までノートを持ってきてくれ」


 と国語の先生が本日のクラスの日直に頼んでいた。そして今日の日直は……、


「えー…」

「……」


 優大と藍である。


「……」

「……」


 なぜか変な空気の中、二人は二階の職員室まで生徒のノートを運んでいく。


「重たいなー」

「そうね…」

「……」

「……」


 しかしこの気まずい空気に耐えられなかった優大は彼女にふいと問いかける。


「なあ、藍」

「な、何?」

「お前最近らしくないぞ。大丈夫か?」

「な、なに言ってるの!? いつも通りよ!」

「そうかな? いつもより感情的になっていると言うかなんというかー……」

「そ、そんなことないわ。気のせいよ!」

「そうかな?」

「次の授業が始まるから、さっさと行きましょ!」


 彼女はタタタと足早に階段の方へ向かう。


「お、おいっ、そろそろ階段……」

「あっ……!」

「藍!!」


 どたどたという音とともにバサバサとノートが宙を舞う。優大は藍を守る体勢で階段から落ちた。


「いてて……、藍…大丈夫か?」

「う、うん……、……ごめん。ボーとしてた。優大こそ大丈夫?」

「あぁ、僕は大丈夫だ。それよりクラスのノートを拾おう」


 二人は階段に散らばったノートを集める。


「クラスのノートをこんなにばら撒いちゃって、やらかしちゃったね……」

「なに言ってんだ。ノートよりお前の体の方が大事に決まっているだろ?」

「……」


(もうダメ……。私は……もう……優大のこと……)

 藍は優大への自分の思いに気づき、きゅっと右手で自分の胸を押さえるのであった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

ブックマーク頂き励みになります。また評価も頂ければ励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ