『ガリバー旅行記』スウィフト ジョナサン(青空文庫)
〇あらすじ
1726年に書かれた小説。イギリス人のガリバーが色々な国を旅した際の記録といった雰囲気で書かれた作品です。
本編は全四章。
第一章は小人国 (リリパット)。
こちらは小人の国に迷い込んだガリバーが小人たちと交流したり戦争に巻き込まれたり(?)という皆さんも知っている「The ガリバー旅行記」なエピソードです。
しかし、『ガリバー旅行記』にはまだ続きがありました。
第二章は大人国 (ブロブディンナグ)。
タイトルの通り、第一章の時とは正反対の巨人の国へ迷い込みます。
その世界では全てのものが巨大なので、ネコなどの動物や昆虫でさえ脅威的なサイズです。
そこで王様の賢いペットとして飼われていたガリバーですが、ガリバー専用にこしらえて貰ったミニチュアハウスごと鳥に攫われた結果現実世界へ戻ってきます。
第三章は飛島 (ラピュタ)。
誤植ではありません。ラピュタです。
とは言っても、ジ〇リで有名なあの映画とは関係ありません。
ラピュタはとても賢い学者が多く住む島ですが、学者たちは考え事ばかりで意思疎通が上手く行かないのだとか……。
また、ラピュタを離れた後立ち寄った島には「死なない人間」と呼ばれる人たちがいました。
しかし、不死というのは時間が経つほど不便に感じる部分が増えるようで……。
何より興味深いのは、この「死なない人間」がいる国と日本は国交があると書かれているのです。
当時の日本は鎖国中ですが、ガリバーは国交があったオランダ人のフリをして日本経由でヨーロッパへ帰って行きました。
第四章は馬の国 (フウイヌム)
フウイヌムという理知的な馬が支配する国です。
そこにはヤーフと呼ばれる人間に似た動物もいました。が、ヤーフはとても野蛮で、フウイヌムたちの家畜として農耕に使われたりしている存在でした。
争いを好まないフウイヌムとは対照的に、ヤーフは十分な量が用意されていても食料を奪い合い、光る石 (宝石?)を大切にし、奪い合い、失うと元気がなくなるという欲深さを見せます。
ガリバーはその世界を気に入り、永住しようと考え始めた頃。フウイヌムたちにガリバーはヤーフの仲間であると知られてしまいます。
すると、ガリバーを追放せよという意見が出始めました。
そこでやむなく馬の国を去ることとなりました。
現実世界へ戻ってきて妻に抱きしめられたガリバーは気絶してしまい、物語は終わります。
〇感想
有名だけど読んだことがないものを読んでみよう! ということで読み始めた本作。
『ガリバー旅行記』という作品がこのように複数の章に別れ、色々な国を旅する話だとは知らなかったのでそこが最初の驚きでした。
加えて、日本まで登場するとは。
作品が書かれた時代がちょうど鎖国中だったので、世界からすれば日本もファンタジーの世界のような、未知の場所だったのかも知れませんね。
馬の国で出会った人間そっくりの野蛮な生き物「ヤーフ」は人間の本質を映し出しているように思いました。
作者のスウィフトが周囲の人間に対して抱いていたイメージがそこに現れていたのでしょうか。
また、私が読んだものには訳者の原民喜さんが書いたエッセイ風のあとがきもありました。
そこには原作者の人物像や興味深いエピソードがいくつか載せられていましたので興味がある方はそちらも併せて読んでいただければと思います。
また、Twitterで読了報告をした際に『ガリバー旅行記』をモチーフとした曲があることも教えてもらいました。
音だけでも物語の内容を思い起こしながら楽しめる、という面白い経験ができましたのでその動画のURLを記載して今回は終了とさせていただきます。
教えてもらった曲はこちら
→ https://www.youtube.com/watch?v=HaeG8OZLg4c&feature=youtu.be
次回は……『ジキルとハイド』です。