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第7話 気を遣うという事の難しさ


 授業二日目、今日の授業も昨日と同じオリエンテーションだ。回り切れなかった施設や教室を巡り、利用方法の確認をしていく。これが明後日まで続くらしい。

 今日は校舎内の職員室からスタートした。


「基本的にどの先生もこの職員室にいるのですが、ここの教員は全員研究室を個別に持っていて一日の授業が終わり次第、大半の教師は研究室に移動します。中にはここを毛嫌いして研究室に籠る教師もいるのですが……まぁどちらかに必ず居ますので覚えておいてください。

 ちなみに研究棟はこの窓から見えるあの建物です。あそこは許可のない生徒は立ち入り禁止なので、用事がある場合は研究棟の事務所に言って下さいね。

 さぁ今日もどんどん行きますよ!」


 午前中は校舎の教室や設備を回り、お昼はこの時間帯だけ開店するという弁当屋で好きな物を買って屋上で食べる事になった。

 この学院の屋上にはテラスが設けられており、青々とした芝生の上にはテーブルやベンチが置かれている。夏と冬は中々に辛いだろうが、この時期は風がとても気持ち良いい。

 そしてそこでもやはりレミーラがセシルを誘いにやって来ては、半ば強引に連れて行ってしまった。


 午後は昨日回れなかった用具置き場や訓練用の魔道具等の保管場所といった細かい所を回るとの事だった。そこでの行動でもレミーラとその取り巻き二人ががっちりセシルを囲っていたため、俺は自ら近付くような事はせず、はいはいといった感じで離れた所を歩いてやった。

 セシルは困ったような、困惑したような……そんな表情をしていた気がする。




 三日目、この日の午前中は学院の設備や衛生を維持してくれている用務員さん達への挨拶巡りがメインとなった。広大な敷地なので用務員室も至る所に点在しており、これまでよりもかなり歩く距離が増えている。案の定ルルが死にそうな顔で懸命に歩を進めていた。


「……なぁ、何で俺にずっとしがみつくんだ?」

「引っ張って……もらった……方が、楽……だからよ……」


 ――初日より息切れてんじゃねーか……


「さすがに体力無さ過ぎだろ」

「……ルルが頭で考えて、ナナはそれを行動に移す。……役割分担」

「そういうもんか? お互い同じくらい持ってた方が効率良いと思うんだけど」

「……ルルとナナは、二人で一つ」

「双子ならではの愛だね~。俺もナナちゃんと一緒に支えた……」

「結構よ」

「だから、俺にだけツッコミ速くない!?」


 ――何かこれ、お決まりになりつつあるな


「そーいえばセシルはどこ行った? 教室は一緒に出たよなぁ?」

「ああ、最近レミーラがべったりだからな。連れられて先に行ったんだろ」

「……ナナ達が、最後尾」

「今日も昼、あっちかな?」

「さあな。食いたい所で食うだろ」


 ――まぁレミーラのあの感じじゃはっきり意思表示しないと諦めないだろうけどな。つっても、あんだけ慕われたら無下にも出来ないか


 人気者は大変だなと思いながら、俺達は校舎の中にあるパン屋へと向かった。そこはカフェも併設されており、普段はなかなか席が取れないらしい。


 到着すると案の定、セシルはレミーラ達に捕まっていた。他の生徒何人かにも囲まれて、すでに昼食をとり始めていたのだった。


 ・

 ・

 ・

 ・


 午後は部活動で主に使う施設、植物園や薬草畑、温水プールにトレーニングルームといった所を回って行く。

 植物園と薬草畑には世界各地の珍しいものが栽培されており、クラスメイト達も興味津々で見学していた。


「これ、何だろー? 私見た事ないや」

「私もー。でも綺麗な花だね~、柄も可愛い!」

「それ、触ったら噛みついてくるぞ」


 出しかけた手をバッと引っ込め、振り向いた女子生徒はギョッとした顔で俺を見た。


「リ、リーリウム君!?」

「この花、見た目と違って花弁(はなびら)がめちゃめちゃ硬いんだ。それにほら、花弁のふちに小さい棘が沢山付いてるだろ? 獲物が触れた瞬間、花弁を閉じて捕まえるんだ」

「ほ、ほんとだぁ! まるで牙みたいだね」

「これはまだ全然小さいけど最終的に十倍くらいの大きさになる。そうなると花弁の強度も増して挟まれたらぺったんこ。棘も本物の牙みたいになって獲物を串刺しにする」

「怖っ! そんな凶悪な植物があるんだ……でもリーリウム君、詳しいねぇ」

「山育ちだからな。自然は沢山見てきた」


 そんな会話を聞いた他の生徒達もこれはあれはと質問を投げ掛けてきた。


「この蕾は? 色がすごい鮮やかでどんな花が咲くのか気になるんだけど」

「それはもう花だぞ。獲物が近付くと花弁を開いて中に隠してある触手で絡め取ろうとしてくるんだ。消化液が強いから捕まったが最後だな」

「げぇぇぇ⁉」

「じゃ、じゃあこの植物は? 毒々しい色してるからやっぱ危ないやつ?」

「これは咲くまでまだ数ヶ月かかるがその頃には綺麗な花を沢山つける。今の不気味な見た目は成長に時間のかかる自分を守るためにそうしてるんだ。この花と特定の毒草を受粉させると、さっきの薬草畑にもあった解毒草になる」

「へぇー、人と同じで見た目によらないんだな~」


 なぜか俺をまじまじと見ながら感心したように感想を述べられた。――解せん。


 するとパチパチパチと拍手をしながら一人の女性が近付いてきた。長い髪をポニーテールに結わき、同じくらい長い前髪を真ん中分けにして縦ロールに巻いているのが特徴的だ。淡い桜色の髪に透明感のある白い肌、優し気な大きい瞳には髪色と同じ桜色が色付いている。ワンピース姿がよく似合う、とても可憐な女性だ。


「すごいね~! ここのお手伝いにスカウトしちゃおっかな☆」


 バチンっとウィンクをするその女性は、可憐な中に活発な少女のような表情を見せる人だった。


「フェリスさんじゃないですか! お久し振りですね」

「あら、エミリアちゃん! いらっしゃい☆」


 ――どう見てもエミリアの方が年上なのに……人は見掛けによらないもんだ


「リーリウム君、今失礼な事考えたでしょ」


 エミリアがジト目で俺を見た後、「こほん」と咳払いをしてこの女性の紹介を始めた。


「皆さん、この方は植物園と薬草畑、そしてこの裏手にある庭園を管理して下さっているフェリス=ファレナプシスさんです。この学院で植物の知識で彼女に勝る人はいません。知らない事は彼女に聞くといいでしょう」

「その代わり、お手伝いよろしくね☆」


 ニッコリと笑うその顔は眩しい程に可憐な美しさを放っていた。ゼルなんかは目がハートになっている。


「はいはい、皆さん見惚れないの。もういい時間なので今日はここまでにしましょう。フェリスさん、長居してしまってすみません。ありがとうございました」


 そう礼を告げ、エミリアが生徒達を促しながら植物園を出て行った。それに続いて植物園を後にしようとした時、後ろから視線を感じて振り返ると、真っ直ぐ俺を見つめるフェリスと目が合った。


「また来てね、クロス君」

「え、俺名乗って……」


 ――誰かが呼んでたのを聞いたのか?


「……まぁいいか。この裏の庭園にあるカフェが気に入ってるんでそこに行く時にでも寄らせてもらいます」


 そう返事を返すと、フェリスは花が綻ぶ様な笑顔を見せたのだった。





 ******





 四日目、腕輪を使ったオリエンテーションは今日で最後だ。これぐらい時間が経つとクラスメイト達もだいぶ打ち解け、仲の良いグループも出来始めていた。

 それと同時に貴族と庶民と言う立場の境界線も薄っすらと浮き彫りになりつつあった。


「もう大方見て回った気がするけど今日はどこ回るんだろうな~」

「あとは役員室じゃないかしら。とりあえず、早く終わってくれればどこでもいいわ」

「……ルルに同感」

「大丈夫、今日はあまり歩かないと思うよ。うちのクラスは生徒会室と風紀委員会室で最後のはずだから」

「それじゃ行くか」


 立ち上がり教室の扉へ顔を向けると、凄い形相で俺を睨む例の三人組がそこにいた。

 げんなりする気持ちを隠す事なく、レミーラ達を指してセシルの方に顔を向ける。


「ほらセシル、いつもの三人が待ってるぞ」

「毎日毎日お世話なもんだなぁ。あんなべったりくっつかれたら息詰まらねぇ?」

「はは、ここはアクアガーデンじゃないから君達も自由にしたらいいって伝えたんだけどね……」


 そのセシルの言葉に俺は首を傾げる。


「あいつらは自由にしてるだろ」

「え?」

「お前と一緒に居たいんだ、嫌じゃないなら付き合ってやればいい。俺は先に行くぞ」

「……ナナも行く」

「お~れも!」

「私も行くわ。セシルはどうする?」


 ルルの質問にセシルは少し躊躇うような素振りを見せた。


「うん……いや、先に行ってくれ。僕は彼女達と後から行くよ」

「そ。じゃあまた後でね」


 そして俺達は先に教室を出ると、エミリアの指示を受けて目的の場所へと向かったのだった。


 ・

 ・

 ・

 ・


 着いた所は風紀委員会室。この学院の風紀を取り締まる役員会だ。


「皆、初めまして。私は風紀委員の二学年、ジェシカ=ライトニングだ。今日は皆に私達の役割を説明させてもらおうと思う。配ったプリントを見ながら聞いてくれたまえ」


 金髪の髪を後ろで一括りにした、厳格そうな凛々しい女生徒が中にいた。

 ジェシカから配られたプリントには役員全員の役職と名前、活動内容、そして与えられている権限が記されている。


「私達は主にこの学院の風紀を取り締まっている。ルールを破る者への制裁、喧嘩の仲裁、学院のパトロールといったものが主な仕事だ。そして不審者の侵入や緊急事態に対して真っ先に対応へあたるのも我々である。皆も何か不測の事態が発生したらすぐに我々へ報告を上げ、自分達は安全の確保を第一に行動してほしい。

 腕輪に緊急回線というものがあり、これを繋げば風紀委員会と生徒会に直で連絡が取れるようになる。何かあったら必ず指示を仰いでくれ。決して自己判断で行動はしないように。以上だ」


 役員全員の紹介は来週ある生徒総会でやるとの事で、今日は役員会室の場所と役割の説明、そして注意事項の話をするのがメインという事だった。


 それは次に行った生徒会室でも同じで、部屋の中に入ると一人の男子生徒が待っていた。

 その人物は黒髪碧眼の物腰柔らかそうな人物で、一見すると爽やかな美青年に見える。しかし妙に引っかかるこの笑顔……余所行きのカノンが作るものにそっくりだ。


「こんにちは皆さん。私は二学年、クロム=アレキサンドライトです。我々生徒会は皆さんの代表として生徒側の声を精査・選別・反映させる事を主とした組織です。この学院の予算配分も私達に一任されています。より過ごしやすく学びやすい環境を目指して投書箱を設置していますので意見要望があれば遠慮なく投書して下さいね。匿名でも構いません。

 それと皆さんにお願いがあります。私達生徒会は緊急時や有事の際に指示系統の全権を有しています。生徒会からの指示は必ず順守してもらえますよう、よろしくお願いします」


 そして話が終わると風紀委員会室で貰ったのと同じようなプリントが配布される。それを受け取り、俺達は生徒会室を出て昼食場所へと向かった。




 場所は校舎裏にあるガーデンテラス。購買で限定販売されるランチバックを購入し、そこに移動して昼食をとる。


 そこではセシルの周りに例の三人組に加え、数人の生徒が集まり輪を成していた。これまたプライドの高そうな奴らが勢揃いだ。


 俺の方にも昨日植物園で話した生徒が数人、一緒に食べないかとやってきていた。断る理由もないので了承したのだが、後から来たルル達に緊張していたのを見るに一般庶民の出なのだろう。


 ここで俺は初めて、庶民が貴族に抱くのは憧れだけではない事を知った。


 もちろんルルにナナ、ゼルの三人には差別する雰囲気などまるでなく、いつも通りの態度で昼食をとっていた。集まった奴らとも普通に話をしていたため、意識し過ぎているのは庶民のこいつらの方だろう。


 だがきっとそれが普通で、ルル達が稀なのだ。


 セシルと居れて満足なはずなのに、そこにいる貴族達は不満そうにこちらを見つめていた。



 そして昼食後、約四十ある部活の説明と部室棟の見学をして、四日間に及ぶオリエンテーションは無事終わったのである。





 ******





 寮の食堂にて。

 まだ人込みが苦手な俺は、人もまばらで一人でも落ち着いて食事が出来る夕方の早い時間にやってきていた。


 学院のオリエンテーションが終わり、その広大さと設備の充実さに感心した俺は夕飯を食べながら復習も兼ねて腕輪で地図を確認していた。


「初日に行ったカフェテラスは載ってないんだな。秘密の場所が一つ二つとあるって事か……」


 ――あのカフェに至ってはセシルがそんなような事言ってたしなぁ


 そんな事を思いながら食事を進めていると、聞き知った声が近付いてきた。

 嫌な予感を感じながら無視していたのだが……やはりと言うべきか、その声の主は俺の横で歩みを止めると、嫌味ったらしい口調で話し掛けてきた。


「あらぁ、クロス=リーリウム。こんな早くに一人寂しく食事ですの? 庶民が貴族の邪魔をしないようになんて、良い心掛けですわね」


 バサッと豪華な扇子を広げ、意地の悪い笑みを浮かべたレミーラがそこにいた。取り巻き二人を従えて俺を見下すように立っている。


「何で女子のお前がここに居るんだよ……」


 ハァと深いため息をつき、面倒くさいのを隠す事なくレミーラに言葉を返した。


「君っ、レミーラ様に失礼だろう! 寮は許可さえ取れば規定の時間まで行き来自由なんだっ」

「その呼び方に謝罪を求める」


 取り巻き二人がレミーラの後ろでやんややんやと騒ぎ出した。


「貴方たち、黙りなさいな。庶民の無知にわたくし達がムキになってどうするの」


 そう言ってパチンと扇子を閉じると、その笑みを一層濃くする。


「これからも立場有る人達の邪魔にならないよう気を付けて行動して下さいませね。貴方が近くにいる方達は一般庶民が近付いていい相手じゃないのだから」


 ――ああ、なるほど。こいつは単純に()()気に食わないのか


 セシルと居れれば満足なのかと思っていたがそうではなかったらしい。ゼルの言ってた色々と大変だぞっていうのはこういう事なのだろう。確かに、面倒くさい。


 仕方ないので俺は少し訂正をする事にした。


「悪いが近付いたのは俺じゃない。セシル達からだ。邪魔ってのはどうしたらなるのか分からないが……まぁ気を付けるよ」


 そんな俺の言葉を聞いて、レミーラ達が驚愕したように目を見開いた。


「な、何て言い草ですのっ⁉ それに、庶民の貴方が呼び捨てにしていい方じゃありませんわ! 様を付けなさい様をっ!」

「そうだそうだ!」

「不敬にもほどがあるっ‼」


 どうやら俺の言い方はこいつらの怒りを買ってしまったようだ。

 仕方がないので自分の言葉に補足をする。


「誤解のないように言っておくが、本人からそう呼んでくれって言われたんだぞ? それに俺からはもう拒絶をするつもりはない。俺と一緒に居ちゃ悪い理由があるなら本人達に言ってやってくれ」


 しかし、これが相手の怒りを爆発させてしまう。


「……こ、こいつ!!」

「バカなのか? それとも天然?」

「そんな事、どっちでもいいですわ!! 貴方、自分の立場が分かってらっしゃる?! そんな社交辞令を真に受けて図に乗るのもいい加減になさい!!」


 ――な、何でこんな怒り狂ってるんだ?


「いや、だから、図に乗るも何も俺は自己紹介で関わらないでくれって言っただろ。お前達もそれを無視して話し掛けてきたくせに急に怒鳴りだすとか、大丈夫か?」

「――――っ!?」

「そもそもお前らが言ってる事ってセシルは多分望んでないぞ? もっとあいつの気持ちを聞いてやったらいいんじゃないか?」


 レミーラがわなわなと震え出し、扇子を持つ手は強く握り締めすぎて白くなっている

 今にもへし折りそうな勢いだ。

 そして俺が発したこの一言が引き金を引く。


「あんまセシルを困らせるなよ」

「――キサマァァァっ!!」


 もう大爆発だ。


 気を遣って言ったはずの言葉が逆に逆鱗に触れたらしい。顔を真っ赤にして今にも掴みかかりそうなレミーラを取り巻き二人が必死に止めていた。


「庶民風情が調子に乗るなぁぁぁ!! 守られ施される立場の人間が誰に向かって口を利いてるっ!!」


 その怒りは食堂中に響き渡り、利用している学生達が何事かと騒ぎ出した。さすがにマズイと思ったが、人格すら変わってしまったレミーラを止める手段が全く思い付かない。


 そこにフライパンとお玉を持った食堂のおばちゃんが、ゴンゴンゴンと野太い鉄音を鳴らしながらやってきた。――救世主である。


 ――た、助かった……


「はいはい、そこまでよ。食堂に用事がないならあんた達は部屋へ帰んなさい。そんであんたはさっさと食べちゃいな。冷めたらもったいないよ!」


 このおばちゃんの登場でレミーラも理性を取り戻したのか、謝罪を述べて食堂を出て行った。


 その時、舌打ちと共に一睨み浴びせられたのだが……俺は敢えて見て見ぬふりをし、動揺を隠して食事を再開したのだった。


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