3 "Hell"o
転生:死んで別次元での再生、生まれ変わる
召喚:召喚の儀式により、喚び出される
転移:別次元への移動、神隠し
共通することは、既存存在する場所からの喪失と別の何処かへの、出現である。
男として失敗したが冒険は失敗するわけにはいかない。
堅く誓うジンであった。
『ミザはどうやってここに来たんだ?
それに俺がミザを作ったはずなんだけど、、、』
『はぁ?ここではある年齢になると主従の関係を結ぶでしょ?。
なんで知らないの?世界の常識でしょ。
それに、あんたは召喚されたのよ。何も知らないものなのかしら』
『ここは、召喚の神殿!これで私も晴れて冒険の旅に出れる!
さぁ!行くわよ!ただ、変態だったのは運がないわね。。
それに、人間が召喚されるなんて聞いた事ないのだけど』
キャラメイクとしての場所が実は召喚の神殿だとは思わなかった。
これはこれで、面白いし設定だな。
そして、恐らくだが何かしらの情報を元に、自動で俺自身をデータ化しゲーム内に投影している。
なんという技術力、、。
ただこれだけは言わないといけない!
『それはいいとして、おい!次、変態とか呼んだら冒険にもいかないし、"言うこと聞かないと消去するぞ"!』
『え、消去する?面白いわね。私を殺すってことかしら?
それに、召喚し直す事もできるのよ?』
『は?え?何回も、できるものなのかよ!』
『ただ手順があるし面倒なのよ。儀式にはまた制約魔術、召喚魔術、神殿との契約、手続きだけでも3〜4ヶ月ぐらい掛かってしまうわ。
だから、これ以上、グダグダと言わずに着いてきなさい。
これからの働き次第で、あなたにつけた汚名も返上されるかもしれないわよ?
それとも無理なのかしら?へ・ん・た・い 笑』
ミザの煽り攻撃。
なんだろうこの、理不尽な感じ、そもそも選ぶのは俺だろ普通。
なんで、ミザが選ぶんだ?
プレイヤーの立場とかないのか
むしろ俺が、お前を消してやろうか?
言いたいことは山ほどあるし、疑問もあるがこれはゲームだ。
初めはわからないことも進めれば解決するはず.......。
こういう所は会社で培った鈍感力だな。懐の深さは男の魅力の1つ!
『わかった。分かったよ。今後ともよろしくお願いします。リザ』
情けない、俺の存在価値とは?人権さえないとは
なんというゲーム設定だ運営に苦情入れたる!
ただ今は、我慢我慢、、、
『あら、ようやく主従関係を理解したようね!それに冒険は死んだらそこでおしまい。気を引き締めていくわよ!』
いつの間にか自分が主人公であるがごとく振る舞うミザの後ろ姿を追いかけながら、神殿から出ていく。
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神殿を出るとそこは、何もない空間だった。
なんといえばいいか、真っ白、画面いっぱいに広がっている。
後ろにあった神殿もいつの間にか消えていて
少し前を歩くミザは、こちらを振り返ることも恐れることもなく、真っ直ぐ歩いて行く、それほど真っ白で自分がどの方向に進んでいるかさえもわからない。不思議な感覚、ゲームの不具合を疑いたくなるくらいだ。
『おーい!ミザー!どこへ向かっているんだ!それに神殿も消えているし周りは真っ白で大丈夫なのか?』
声は反響などすることもなく吸い込まれていくようだった。
『いいのよ、自分が信じたように行きたいところへ行けば。
ここはそういう聖域【クロノス】
思いが強ければ強いほど、自然と己が道に行き着くらしいわー!
ただ、私も話を聞いてただけで今回が初めてなの!なんとかなるわよ!』
『じゃあ、今歩いてる方向は何となくなのか?』
ミザの隣まで小走りに追いつく。
『んー何となくは何となくなのだけど......。
こっちなのよ!私を呼んでいるというか、歩いていて清々しいわ!
あなたは何か感じる?』
『俺には何も、、、いや、!進んでる方向がいい気がする、不思議だ』
『そう、あなたもしっかり感じているじゃない』
ミザは嬉しそうに笑う。美人で巨乳で髪も赤ロング、、、その笑顔プライスレス!
『私おもうのよね』
ほえ?おっといけない、、ニヤけていた。
『何が?』
『これからどこへ行くのかわからない、不安なはずなのにワクワクするの!
そのために努力してきたのもあるけど、そんなのは些細なこと。
だってこれが冒険!私がずーっと夢見てたことなんだから!』
『そうか、俺にはそんな夢はないけど、ミザと一緒なら面白くなりそうだ』
ミザはこちらを見ながらニッコリする、、可愛い、、。
照れ隠しに前を見ると遠くの方に、門のような物が見えてきた
少し歩きその門らしき建造物の前に到着。
門は銀色で扉は観音開き、何語かはわからないが文字が彫ってある。ただ自然と読め.......る!【時の扉】と。
『これじゃないわね、他を探しましょう』
ミザは躊躇なく、選ばなかった。
すぐに門を避けて歩き出した。
『ミザ、何で入らないんだ?冒険の始まりだぞ?』
置いてかれまいとリザを追い駆ける。
『時の扉は1つじゃないらしいのよ。神殿で聞いた話だし実際に見るのも初めて、、ただあの扉じゃない気がするだけよ』
ミザも分からないらしいが、これではないという自信はあるようだ。
彼女はとにかく真っ直ぐで、おもいきりがいい。
何より自分を信じてる感じでかっこいいと思うジンだった。
次の扉を探して歩き出す。
気がついたが、俺の服装は冒険者らしい軽装で皮が中心の装備だった軽くてよいが、防御面が不安だ。
ミザは魔法剣士らしく身軽だが守る所は守られた甲冑と魔力が込められてそうな剣に扱いやすそうな小手を帯びていた。
その姿がまた彼女をより美しく気高く感じさせた。
画面にはキャラレベルとステータス、スキルスロットが表示されておりアイテムボックスもタップすれば見れる仕様だった。
スキルスロットには"アシスト"のコマンドがあり、意識すると使えるようだ。実にゲームぽい。
今アシストを意識しても何も起こらない。何に使うんだろうか?
アイテムボックス内には特に何もなく、今着ている装備は初期装備というより肌着みたいな感覚だろうか。
脱ぐこともできないみたいだ。仮に脱げたとしても、隣に女性がいるのにイキナリ脱ぎ始めるとか変態からド変態に格上げされてしまう。
まずは、装備を揃えないとな。これからミザ頼りで情けないことになりそうだ。
あれこれ考えていると再び門が現れた。
ただ、その門は先ほどの門とは違い真っ黒でしかも門自体が渦を巻いてる感じだった模様が動いているのか?....。
不安そうにミザを見ると。
ミザは叫んだ。
『面白いじゃない!ここよ!行くわよ!ジン!』
瞬間、扉は開かれミザは走りだす。
『え、なんか禍々しいし考えようぜ!ん?今、名前!俺の名前、ちゃんと呼んだか?ちょ、まて、おーい!!』
ジンは考える暇もなく、また彼女の背中を追いかける。
二人は開かれた門の光に包まれる____________
次回もお楽しみに。