恋愛下手。
——明日の夜ごはんでも食べに行かない?
——んー。でも、あたし今月お財布厳しいんですよね。
——いいよ。最近色々負担かけてるからさ。お礼にご馳走するよ?
——えー。悪いですよー。
——ほんと優香ちゃんには感謝してるからさ。お礼させて。
——じゃぁ……。ごめんなさいご馳走になりますね。ありがとうございます。
——じゃあきまり。明日は仕事早めに切り上げるからさ、駅前のマックで待ってて。
——わかりました。お仕事大変なんだから無理しないでくださいね。
——大丈夫。任せといて。
スマホ画面のメッセージを眺めながら。
あたしは少しため息を吐く。
国広さんとの距離が近くなったのは別にそんなに嫌じゃない。
名前もいつのまにか優香ちゃん呼びだし。
もしかしたら好意を持ってくれてるのかな?
そんなことも感じてる。
会社で見せてたお堅い感じとデルタで見せるおどけた感じ。そのギャップも嫌いじゃない。
あたしの中の好感度も上がってるのも間違いない。
でも。
ああ、もしかしたらこのまま彼を好きになって、そんで結婚とかも視野に入れちゃえばあたしは幸せになれるのだろうか?
もしかしたら、そんな普通の人生を望んだ方が、良いのだろうか?
でも。
心の中の気持ちがそれを邪魔する。
ああ、もう。
考えてもわからない。
☆☆☆
お昼の休憩が終わり仕事に戻ると友坂さんが声をかけてくれた。
「なんか顔色冴えないけど大丈夫?」
「ええ。ちょっと気になることがあって、考えすぎちゃって」
「お仕事のこと?」
「だったらいいんですけどねー。だめなんですあたし、恋愛下手なんで」
「そっか。わたしも大概恋愛下手だけどまさか優香ちゃんからそんな言葉が出てくるとは思わなかったよ」
「えー。あたしってどんな風に見えてるっていうんですかー?」
「んー。けっこうそういう方面には自信ありそうに見えてた、かな」
「かいかぶりすぎです……。あたしまだお付き合いとかもしたこと無いんですよ……」
「うそー。学生時代とかも一度も?」
「そうです。まだそういうの経験したこと無いです……」
「しんじらんない。けど、嘘じゃなさそう……。ごめんね」
「いえ……。ごめんなさい」
なんかおもいっきり恥ずかしいこと告白しちゃったかもとか後悔して落ち込んでると。
「はい。あったかいココア。お詫びね」
そう、友坂さんがカップを差し出してくれて。
温かいココアが美味しくて。
ちょっと立ち直れたかな……。