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かわいいな。

「だからさぁ。休め休めって言われても平日に休むと結局日中電話がひっきりなしにかかってくるから休めませんって言ったわけよ」


「だよな。日曜だって下手したら掛かってくるしな」


「そうしたら電話くらい代わりの人間が出ればいいじゃないかってきてさ。仕事の内容も進捗もわからないやつが出たって無駄だろ? だいたいそれならちゃんと会社で俺らの仕事把握しろっていうの」


「日報も出してるし課長に報告してんだから、代わりなら課長がすればいいんじゃね?」


「だいたいうちの会社営業マン個人の能力に頼りすぎなんだよ。これだけ扱い商品も雑多にあると自分の専門以外に疎くなるのもわかるけどさ」


「完全にみんな個人商店みたいになってるしな」


「悪いな。そんな感じで上の方で話が進んだらしくてさ。秘書みたいなもん? 専属の営業補佐は欲しいって前々から要望はしてたんだけどな。半分パートさんだから友坂さんと御浜さんには負担がかかるかもだけどよろしくな」

 と、岩下さん。

 榊さん達はパートなので表向きは一人ずつのペアということにしてるけど、それを結局友坂さんが3人分まとめて面倒を見て、国広さんとあたしがペア、ということになったみたい。

 うーん。

 営業さんの進捗の把握かぁ。

 だいじょうぶかな……。


「ちょっといい?」


「はい。なんでしょう国広さん」


「係長、ちょっと御浜さんとミーティングしてくるから」


「おお。しっかりな」


「じゃぁ、許可も出たことだからちょっとサ店でも行こうか」


 ええ?


「あ、ごめんなさい友坂さん、いいですか?」


「ええ、こちらは心配しなくていいから。行ってらっしゃい」


 さっさっと歩く国広さんの後ろから追いかけるように、あたしはちょっと急いで歩く。

 事務所のドアを閉めた所で国広さんが振り向いた。


「はは。じゃぁ一緒にサ店へ茶でもしばきに行きますか」


 と、ちょっと冗談っぽく話す国広さんは、あの夜と同じ笑顔で。


 あたしも。なんか笑顔になっていたとおもう。



 ☆☆☆



「まあ、あんまり難しく考えないで。俺なら休みだろうがなんだろうが必要だと思ったら電話してくれてもいいし。あ、そうそう。普段はこのメッセージアプリで連絡とらない?」


 会社の向かいにある猫目堂って名前の喫茶店に入り一番奥の席に陣取って。


 国広さんは珈琲を一口啜りスマホをこちらに見せる。そこにあるツインって名前のメーセージアプリ。

 最近流行りらしいけどあたしはまだ使って無くて。


「了解です。ちょっとまってくださいね今からインストールしますから」


 あたしも自分のスマホを出してツインをインストール。I.D.を登録して、と。


 I.D.を交換して。


 ピロロン


 ——これからよろしくね♪


 かわいいクマのスタンプが飛んできた。


 あは。目の前の国広さんが思いっきり笑顔になっている。


 なんだか。かわいいな。


 男の人にそんな感想怒られるかもだけど。


 かわいいな。そう思った。

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