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気づいたら夜  作者: 黒木虎
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朝のメンツ

 毎朝、同じ時間に家を出て、最寄り駅まで歩いていると、自ずとすれ違う人々の顔を覚えてくる。名前なんか知らないし、声も聞いたこと無いが、どこか親近感が湧いてくるのが不思議だ。

 隊列を作って集団登校する小学生。寝起きで機嫌が悪そうな女子高生。手をつなぎながら出勤する中年夫婦。歩きタバコしながら犬の散歩をしている爺さん。サングラスをかけてランニングしているおばさん。挙げだしたらキリがない。

 今日はあの人見てないぞと思うくらい、特徴のある人は覚えている。

 ただでさえ詳しいことは知らない人たちの中で、最も謎めいているのは、寝起きで機嫌が悪そうな女子高生だ。俺は勝手に、優子と名付けている

 優子は他の人達と何が違うか。

 それは、いつもマスクをつけているということだ。

 今年の4月から、優子が自転車に乗っている姿を見かけるようになって、早2ヶ月が経つが、未だに素顔を拝見したことがない。

 いつも眉間にシワを寄せて、顔に当たる風を疎ましく思うように眼を細めているが、鼻より下はマスクのベールに隠されている。

 しかし、マスクで隠されていない、しっかりと生えた自眉に、遠目でも確認できる堀の深い目元は、東南アジアのハーフとも思わせられる。

 そんな彼女の眉と目のポテンシャルから、マスクの下の御尊像に期待が高まる。その期待から、夏になると、さすがにマスクはつけないだろうと、俺は勝手に予想している。

 大学生になってから、だらけた毎日を過ごしていると、昔より夏を特別楽しみに思わなくなったが、今年は早くも夏が待ち遠しい。

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