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はばたけ雛鳥  作者: 海鈴
2/15

生物部という

終礼が終わるとすぐに、三村がやってきた。

後ろには困ったような顔をした、ふわっとしたくせ毛とカチューシャが特徴的な少女、卯月かすみがいた。


「卯月も今日は部活に行くのか?」


そう聞くと卯月はきょとんとした表情を浮かべ、三村を見た。それでなにか伝わったのか、三村があぁっ!と声を上げた。


「あぁっ!じゃないでしょ!?まさかと思うけどあんた今日行く理由伝えてないの?」

「かすみんごめんってー!後輩に会えるっ!てことだけ考えてたから、ついつい部長くんに伝えるの忘れちゃってたんだって」


ごめんごめんと言いつつ、反省の色を見せない三村に半ば呆れながら、卯月は俺を見、こうつづけた


「ごめんね。昼私も、一緒に辻堂くんのところに来るべきだったよ

今日行くのには一応、ちゃんと理由があって…」



____生物部。



俺や三村、卯月が去年の冬頃まで一緒に活動していた部活だ。

よく活動内容について、何をやっているの?だとか、なにそれ?だとか、珍しい部活なのか、活動内容を聞かれることが多々あるが、部活でやっていることは至ってシンプルで、生物に関する自分たちのやりたい研究を、学校で行われる部活発表の行事までに終わらせる。生物関係なら、無理のない範囲であれば基本的には、どんな研究でも可能だ。


長期の休みなんかは学校外でフィールドワークを合宿という形で行ったり、一日使って水族館や動物園等の施設の見学などもしていたりする。


部員も文化部の中ではそこそこ多い方で、中学高校合わせて30人ほど、自分達の学年がいた時にはいたはずだ。実は創立時からある部活でもあったりする。

部員はかなり個性が強めで、1人1人キャラの濃い人が多い。勿論、顧問も含め。

そういう訳で、ほかの部活からは「変人の集団」だとか、「black biology club」だとか、ともかくよくわからない呼び方をされることが多い。

たまたま合宿内容がキツかった学年があったからか、「登山部」なんてもうそれ運動部じゃないかと思うような名前で呼ばれたりなんかもする。


そんな一風変わった部活ではあるが、少なくとも俺は部活が他の人に何と言われようと、大好きだった。


と、細かいことはさておき、俺を含めた同期は部活を昨年の冬に引退している。

この学校が自称進学校だからか何なのか、運動部や舞台系はコンクールや大会などの都合で別として、文化部は引退が早めで、文化祭が終わってしばらくすると、一斉に引退する傾向がある。

生物部も、そういった部活であった。


そして今日、何故引退したOGOBが部活に行くのか。

ただ後輩に会いに行く…だとかそういうのは違う。

確かに高3になる前、現在のトップは俺達の学年の一つ下を飛ばし、二つ下の学年となるため、心配でちょくちょく様子を見たり、話を聞きに行ったりしたが今回はそうではない。


何故か。


それは前年度、俺達の学年がトップだった頃の各々の研究のまとめ、“部誌”を配りに行くからであった。

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