古河部長
「…にしても、だ
みんな本当に変わったねぇ…清水くんは引退してからの付き合いだから、よく分からないけど
とりあえずみんなして言えることは、顔立ちが大人になったな!」
と、古河先輩は明るい声で笑う。
それに対し俺と明日ははぁ、と微妙な反応しかできない上に、三村ははうううう!とか言いながら顔を真っ赤にしている。多分、しばらくは三村は使い物にならないであろう。
…それにしても、学校のカフェテリアに大学四年と高校3年生3人ってどういう組み合わせなのだろうか。
先程から、心做しかまだ部活入部期間ではない為、通常より授業が早く終わるこの日は、友達と話すために集まっているのであろう中学一年生達にちらちらと見られて、なんとなく落ち着かない。
「…カフェテリアに私服美女女神様部長様とハーフイケメンと、実はイケメン部長くんがいるとか、顔面偏差値高すぎて私もう消えてなくなりたいし、リアル部長様に会えたというだけでもう死ねる…今すぐ死ねる…」
と、いつの間にか机に顔を突っぷせた三村が早口で口走る。
そういうところは相変わらずなんだーと、三村の言葉と反応に流石に苦笑いしつつ、古河先輩が三村を見つめる。
「…まず、三村ちゃん」
と先輩がいうと、三村ははひぃ!と飛び上がる。
「三村ちゃんは、ちゃんと先輩してるようだね。後輩達と話すとよく『三村先輩』ってワードが出てくるよ
それに、部誌、表紙綺麗だったよ。ありがとう」
「せ、先輩…ありがとうございます。
少しは先輩に近づけたんじゃないかなって、信じたいです。」
三村がそういうと、古河先輩はぽんぽんと三村の頭に手を置く
すると三村が死ぬ、無理、死ぬ。と言ってまた机に突っ伏す。
三村…と、卯月は古河先輩が凄く憧れで克、大好きな先輩だ、とよく口を揃えて言っているが、本当に大好きなんだな。と、ちょっと苦笑いしながら彼女を見つめる。
「辻堂くんは…」
と、古河先輩が言い出したので、はい、と答え先輩の方を向く。
「本当に変わったよ。途中から学校に入ってきて、人を寄せ付けない感じで、部活にもあんなに興味なさそうだった君が、部活大好きになってしかも、私と同じ役職やってるなんてさ
いやぁ、ここまで変わるとは思わなかったよ。なんか嬉しいかな」
と、本当に嬉しそうな顔で俺を見てくる。
そしてそれに続けて、
「どうだった?部活
最後まで無意味なものだって思ってた?」
と、質問してきた。
俺はいいえ、と言いさらにこう付け加える。
「無意味なんかじゃ全然無かったです。寧ろ、俺に必要だったのかもと思います
というか、そう思ってたら部長なんてやりませんよ。同期、9人もいますし」
というと、まっ、それもそうだ。と古河先輩は答える。
「君がそう思うようになってくれて私、すんごーく嬉しいなぁー
あっ、ほかの子達はどう?」
「皆元気にしてますよ。唯、流石に俺たちほど頻繁に部活見に行きませんがね」
「そりゃそうだろうねぇ。
まぁ、私はみんなの元気そうな顔見れてよかったよ
久々に後輩で癒された」
じゃあそろそろ帰ろうかなぁ、と立ち上がろうとする先輩に、待ってください、と明日が声をかける。
声をかけられたのに気づいた先輩は、どうしたの?と先輩が返してくる。
「あの…」