『メンタリスト』
人にとって大切なことは、心を操ることではなく、心通わすことではないでしょうか。
例え心理学で心の動きを学んでも、実際の生身の人相手では勝手が違うこともあるのでは。
むらもんたさん作『メンタリスト』は、そんなことや人の生を考えさせられる作品です。
物語は大きく分ければ前半部と後半部に分かれています。
拓海を主人公とする前半、省吾を主人公とする後半。
前半部では拓海が、メンタリストの技巧を駆使しながら女性の心を操ります。
賭けに勝ってお金を得る為です。決して善良な行為とは言えません。
のちに彼は、痛烈なしっぺ返しを食うのですが…。
九藤はこれを、省吾の愛情だと考えています。
バーのマスターであり、賭けの相手でもある省吾は拓海を昔の自分のように見ていたのではないでしょうか。
お前は俺のようになるなよと。
それは彼の悲しい過去の投影です。
メンタリストであるがゆえに力を持ち、メンタリストであるがゆえに業を負うことになった彼の過去。
拓海の現在を読んだあと、省吾の過去を知ると、物語がだいぶ違って見えてくると思います。
絵の女性は作中、冒頭に置かれた一つの問いかけを表したものです。
寒い雪降る中。あなたにはこの女性のマフラー、何色に思えるでしょうか。
マグネット!でも掲載されています。




