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『華恋』
※ネタバレあります。狂おしい恋愛小説、ということだけを念頭に読まれたい方は以下の予備知識はないほうが良いかもしれません。
どうしても好きな人がいたら、どんな手段を使っても、奪いたくなるのが人でしょうか。
そう、例えば恋敵が双子の姉だとしたら?
白河津さん作『華恋』は、狂おしく切ない恋心を綴った物語です。
幼馴染の心を手に入れる為、ある事故をきっかけに、幼馴染と想い合っていた双子の姉とすり替わる。
姉の亡霊を恐れることなく、彼女・恋華は想う人を手に入れます。
ポイントとなるのはリボンの色。リボンの色の違いで、周囲の人たちは双子の少女を見分けていました。
夏祭りの日、彼女と彼は花火を見ながら改めて、お互いの気持ちを確かめ合うのです。
『恋花火』
かつて双華と呼ばれていた少女は、今は恋華と呼ばれて、彼と将来を誓い合います。
その心にあるのは、歓喜一色だけでしょうか。
私は本当は私ではない。そのことに葛藤する心がまた、作品に妙味を添えます。
まだ未成熟な少女の心の移ろい。
彼女の中にはいつまでも、姉の存在が消えないのではと思います。




