『新説サクヤイワナガ 白蛇伝』
一組の姉妹がいました。
片や花のように愛される妹・サクヤ。そして臭い、と疎外される姉・イワナガ。
はるか古代、平和な土地、オオヤマツミを舞台に二人は王の娘として育ちます。
井川林檎さん作『新説サクヤイワナガ 白蛇伝』。
ある時、高天原から葦原中国を統べるため、降臨してきた天孫ニニギ。
彼は美しく愛らしいサクヤのみを愛します。
イワナガはある時、不意の出来事からクサナギの剣を手にしてしまいます。
それ自体が仕組まれたことでした。
クサナギに振り回されるまま、訳も解らず逃げ惑うイワナガ。
注目すべきは、彼女の、何が何でも生き抜こうとする強い意思でした。
『生きるということ』
イワナガをイメージして作った作品です。苦悩に満ちた中、それでも顔を上げて進もうとする彼女をイメージしました。
実はイワナガが、皆に疎まれるようになった経緯には、非情な仕掛けがありました。
肉親さえ信じられない状況。
そんな中、彼女はクマソ王タケルと出逢い、女性らしい心を抱きます。
この物語の結末は、何とも表現できません。
しかし、淡く白く、どこか安らいだものが、読後感に残るのです。
エブリスタにも掲載されています。