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『とある科学者の偏愛もしくは狂気』
骨と聞いて、皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか。
恐らくは多くの方がマイナスの、どこか薄暗い印象を抱かれることでしょう。
しかし中には、骨を美しい、と思う方もおられるかもしれません。
橋本洋一さん作『とある科学者の偏愛もしくは狂気』の主人公は、そんな人でした。
その名も骨波田真人。名前からして、主人公の性癖を印象づけようという、著者の意図を感じます。
『偏愛』
主人公は幼少の頃から、骨に異常な愛着を持っていました。
成長してもその性癖は変わることなく、それどころかどんどん助長されていきます。
彼は小動物を殺すことすら厭わず、自分の欲求を満たそうとするのです。
学問の道においても、骨に携わる方面に進んだ彼ですが、ある時、ついに人倫を大きく踏み外した罪を犯します。
それは人としての禁忌。骨への偏愛と狂気の成せる業でした――――――――。




