48/74
『魔女の愛弟子』
生きることは重荷を負って一歩一歩を踏みしめることに似ている。
井川林檎さんが書かれる物語には、そうした面が強調されているものが多い気がします。
だからこそ、一筋の光が見えた時、読者はほっとするのです。
井川林檎さん作『魔女の愛弟子』もまた、そうした物語です。
『その身に負うもの』
主人公であるルンペルシュティルツヒェン、略してペルは、西の大魔女(男性)の弟子となるが、ある日、師匠であるラトメは失踪してしまう。オパールの魔女に連れ去られるのです。
彼を恋うるペルは師匠を求めて旅に出ます。
汽車による旅の描写は、ペルの不安に揺れる心の内を如実に表しています。
東の大魔女(男性)であるゴルデンと共に、契約可能な依頼を受けながらの旅は続く。
それは童話になぞらえた、深い構成のもとでの描写です。
『東の大魔女』
旅を続ける内にペルは次第にゴルデンに惹かれていく。
その恋の結末。
そして師匠のラトメを取り戻すことができたかどうか。
壮大で素晴らしい物語を、堪能してください。




