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『蓋は開かれる』
開けてはいけないと言われた物は、開けてみたくなるのが人の情。
パンドラ然り、浦島太郎然り。
鈴藤美咲さん作『蓋は開かれる』は、摩訶不思議な物語です。
『封印』
作蔵と伊和奈の二人が、生きそびれた思念を思念を見送る。
ある時は封じ、ある時はただ静観し。
とても不思議な文体で、なのについ惹き込まれます。
和風の趣漂う、情緒ある作品。
欠かせないのが飯テロ描写。主人公の作蔵は大食漢で、気持ちいいほどたくさん食べます。
その食べ物の描写がとても美味しそうです。
まるで快い迷路に迷い込んだような感覚を味わえる物語です。
さあ、開かれた蓋の向こう側、あなたは何を見るでしょうか。
カクヨム掲載作品ですが、近く小説家になろうでも大幅改稿の後、掲載される予定とのこと。
楽しみです。