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『明くる日、暮れる日』
主人公は黄昏時が嫌いです。黄昏には良い思い出がないから。
弟しか愛さなかった母。
主人公は遊郭に売られ、「夕さ江」という名になります。
黄昏を嫌う彼女が皮肉なことです。
菜ノ 風木さん作『明くる日、暮れる日』
夕さ江は遊郭の朝霧という花魁に気に入られます。朝霧は遊郭にありながら身の清い、稀有な女性でした。
『黄昏の朝霧』
矛盾しているようなタイトルですが、この物語にはずっと黄昏が描かれるので、あえて夕景を背負う朝霧を描いてみました。
と、言うのもこの作品も、黄昏時コンテスト参加作品だからです。
朝霧は信頼する夕さ江にある頼み事をして、夕さ江はそれを引き受けます。
そして彼女はある再会を果たします。
その再会は決して優しいものでなく……。
情緒、雰囲気の味わえる物語です。
結末はご自身で確かめてみてください。