『セツカと時の鎖』
もし、自分の容姿が人とは著しく異なるものだったなら。
もし、人にない能力を持ち、それゆえに異端視されるとしたら。
ちはやれいめいさん作『セツカと時の鎖』を読むと、そんなことを考えさせられます。
主人公が移り変わってゆく物語なのですが、最初の主人公はセツカという名の銀白色の髪と目を持つ少年です。
ある日彼は、長い鎖のついた懐中時計のような物を、仕える邸の主から渡され、旅に出ます。
『記憶の海』
セツカには幼い頃の記憶がありません。自分が何者なのかを、彼は旅の果てに知ることになります。
物語の世界には四人の神子がいて、王と同等の力を持ちます。
時の神子、命の神子、愛の神子、自然の神子。
それぞれ、特権階級でありながらに苦悩を抱えています。
『砂塵に咲く花』
命の神子・イノは、罪を犯してしまいます。そんな彼の元に嫁にしてくれと言ってきたのが、スミレという名の少女でした。
『剣託されし者』
神子たちにはそれぞれ神器のような物があり、その内の一つの剣を、父から託された青年がいます。
彼もまた、神子の宿命に翻弄された一人でした。
『愛の旋律』
愛の神子であるアイセは、人の心の声を聴くことができます。それに加えて陰謀に利用された過去があるため、人々から敬遠されるのです。これはとても辛いことです。
最後はそれぞれ、落ち着くべきところに落ち着きます。
本当に恐ろしいことは何なのか、尊いものは何なのか、この作品は物語るようです。