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『待つ』
今回、ご紹介するのは詩。
「小説家になろう」、詩の世界では知る人ぞ知る、につき(蠍座の黒猫)さんの作品です。
『待つ』という、一篇の詩に、心動かされ絵筆を執りました。
『春髑髏』
につきさんは詩をとても多く書かれる方で、その精妙かつ抒情溢れる美しい言葉の並びに、世俗の憂さを忘れさせてくれる魅力を感じます。
『待つ』は、どこか童話めいた雰囲気のある作品です。
小さなサメと、「ぼく」との心の交流。
小さなサメはもう長いこと、父親を待っています。
長いこと、長いこと。
冷たい川の中で、待っているように。そう、言われたから。
「ぼく」に言えることは何もありません。
その内「ぼく」にも変化が訪れ、「ぼく」も待っていたのだと知ります。
春の訪れを残酷な気配と感じる最後の二行にはっとさせられました。
恐れを、春めいた薄絹で包み込みたい。そう感じました。
ご一読をお薦めします。