35/74
『イーグワーデの鈴』
もしも無償の愛というものがあるとしたら、それは優しく美しく、そしてどこか悲しいものなのでしょう。
gojoさん作『イーグワーデの鈴』は、雪男と盲目の少女との物語です。
イーグワーデという森で暮らす雪男・クレイグは、ある日、目の見えない少女・リズと出逢います。
目が見えないから、雪男である自分を怖がることもないリズに、クレイグは次第に心惹かれていきます。
成り行きから共に暮らすことになった二人は、ある日、リズの目を治せるかもしれない医者を求めて、旅立ちます。
リズはクレイグにずっと一緒にいてねと言い、約束を交わします。
けれどクレイグには解っていました。それは果たせない約束だと。
雪男の目からは、涙の代わりに氷がこぼれます。それはまるで鈴の音のようです。
『あなたの音』
優しく美しく悲しい。けれど心温まる物語です。
耳を澄ませば貴方にも、イーグワーデの鈴の音が聴こえてくるかもしれません。




