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『熱月――テルミドール――』
愛した人に愛される。
それはとても幸せなことです。
では、その愛した人が亡くなったなら?
惠美子さん作『熱月――テルミドール――』は、一途に愛する男性を想う女性が描かれています。
主人公の婚約者はフランス革命で活躍した美貌の青年・レオン。
けれどレオンは粛清の嵐の中、断頭台の露と消えます。
『砕け散ったレオン』
天使のように美しく、勤勉で理想家だったレオン。
彼の死後も主人公の人生は続きます。
レオンは理想と現実との乖離に苦しみ、次第に厭世的になります。
この作品で注目すべきは、革命の嵐の中でたくましく生きる女性像です。
主人公はレオンの死後に知ります。レオンの真実。
一冊のノートが物語る愛しい人の想い。
「さようなら、レオン、わたしの愛しいひと!」
そして彼女が選んだ結末とは――――――――。




