『安直愚直にエクメーネ』
もしもあなたの住む地続きの世界に、異世界のような場所があったら?
もしもあなたの夢が、未来を示唆するものだとしたら?
書いた憶えのない「自分の」手書きのメモがあったら?
リーフさんの『安直愚直にエクメーネ』は、そんな不思議が混在する物語です。
エクメーネとはギリシア語で「住んでいる土地」を意味します。人間の居住領域です。
作中では居住可能区域とされています。
『ブラッディ ムーン』
広がる灰色の空。真紅の月。奇怪な化け物。
ここが、主人公の生きる地続きの世界。もう一つの世界の顔。
作中にはクトゥルフを始めとした神話に関する要素が詰まっています。
図書館が出てくるのですが、まさにこの物語こそが図書館のよう。
面白いことに神話の類の書物はここでは「禁書」扱いされているのです。
その理由は読まれれば解るでしょう。
繰り返される事象、謎の転校生、聞き覚えのある鈴の音。
次から次へと展開される異能力バトルも見応え十分。
登場人物の名前が神様の名前からきているところがまたかっこいい。
また、タイトルが四文字の感じとカタカナの組み合わせで徹底しているのは作者のこだわりでしょう。
さあ、地続きの不思議へ。足を踏み入れてみませんか?