『コキュートス』
この作品は正しく説明するのが困難であり、また、無粋でもある作品だと思います。
ただ一つ感じられることは、書き手の人間に対する底知れない包容力です。
朧塚さん作『コキュートス』。
コキュートスとはそもそも地獄の最下層を流れる川で「嘆きの川」を意味するそうです。「悲嘆」が元来の意味だとか。
『光と影』
デス・ウィングという強大な力を持つ女性は、登場人物たちの趨勢を静かに見守ります。
怒り、嘆き、憎しみ、歓喜……。
『背徳者』
狼の姿をした魔王・ジュダスです。
物語の終盤で、自身と同等の強さを誇る相手であるデス・ウィングと戦い、雌雄を決しようとします。
物語の本筋は、メアリーとスフィアという少女の歪んだ関係、メアリーのスフィアに対する憎悪、そしてそんなメアリーに共感する魔女・ルブルの心模様ではないでしょうか。
全てをメアリーに踏み潰されたスフィアは、それでもメアリーを信じようとします。
不思議なことに、九藤が拝読していて共感したのは、スフィアよりもメアリーでした。
いっそ清々しいくらいに正直なのです。そしてルブルとの絆を大切にしようとする。
他国を犠牲にして成り立つ帝国・ディーバの女王・ローザとルブルたちの戦いも見どころです。
最後、メアリーとルブルの選んだ道に救いを覚えます。