『水茎の跡 side:彰太』、『水茎の跡 side:美鈴』
今回、ご紹介するのは完結済みの共作です。
橋本ちかげさん、霜月透子さんによる『水茎の跡 side:彰太』、『水茎の跡 side:美鈴』。
橋本ちかげさんが男性視点、霜月透子さんが女性視点で書かれています。
恋人からプロポーズを受けた夜、かつての恋人に宛てて美鈴が出した手紙。
返事が来るはずのない、それは恋の形見となるはずでした。
名前が一字違いで届いた奇跡により、彰太は彼女の恋人のふりをして返事を出す。
そこから、二人の文通が始まりました。
鎌倉を主な舞台に、鮮やかな情景描写で、二人の遣り取りは続きます。
彰太は絵描きでもあります。
鎌倉から静御前を連想した彰太は、静御前の絵と下宿先の庭に咲いた苧環の絵を描きます。
『花武者』
舞う、舞わぬ、生かす、殺す、愛す、憎む、
咲くも咲かぬも
絵に添えた九藤の言葉です。静御前は源頼朝の前で舞いを披露していた時、身籠っていたとも言います。
子を宿し、「しずやしず しずのおだまき くりかえし……」と義経を恋う歌を唄い上げた彼女の心を想います。
全ては自由なのです。選ぶのは自分自身。
『しずやしず』
由比ヶ浜でのすれ違い。明らかになる美鈴の、前の恋人の話。
さあ、この二人の恋路の行方はどうなるでしょう。