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『セシアより、愛を込めて。』
人間の本質は愛である。
乏しい物資、荒廃した世界の中、そう信じることには力が要ります。
それも強く固いものではなく、柔軟でしなやかな力が。
ある少女が、死の間際に書いた手紙が、その後の世界の趨勢に影響を与える。
これはそんな物語です。
水無月秋穂さん作『セシアより、愛を込めて。』
『ラブレター』
否定されても。苦しくても辛くても。心を憎しみや悲しみの色にばかり染めないこと。
この作品はそんなことを伝えてくれるようです。
生きている以上、傷つけられることもあるでしょう。
訳も解らず、去られることもあるかもしれません。
それでも光に縋るように。闇さえもひっくるめて、セシアは言いたかったのではないでしょうか。
人間の本質は愛である、と。