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【連載版】ホームパーティーに誰も来なくて、冷めた手作り料理を孤独にモソモソ食べる魔王様『……そうだ! 王国軍に一般入隊して魔族を滅ぼそう!』  作者: タック
2章 ホームパーティーをしよう!

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幕間 魔王学校を作ろう!

 我とイフィゲニアは、地下室で密談をしていた。

 薄暗いランプの明かりで照らされ、顔の凹凸がホラーめいた影を落としている。


「──突然だが、学校を作ろうと思う」


「本当に突然ですね!? 魔王様!?」


 普段の愛くるしい猫獣人フェイスとは打って変わって、イフィゲニアは妖怪の猫又とかそんな感じの顔で驚いていた。

 影の演出、面白い……。


「パーティーのとき、『王都にまともな学校が必要かな~』って思ったのである」


「す、数日前に思いついて、即実行に移すとは……さすが魔王様ですにゃ……。

 暗黒なる魔王学校を人間世界のクサビとして打ち込み、絶対服従の恐怖を植え付けようとは……」


「いやいやいや!? 普通にお勉強のための学校だからね!?」


「冗談ですにゃ」


「そ、そうか。それで、まずは場所をどうしようっていうのがあったんだけど、何か土地問題が解決しちゃったのである」


「ふみゅ?」


 ジャスティナや、教会で救った子供たちには教育が必要。

 そこで学校を作ろうとホムパ会場で思い立って、ぶつぶつと小声で呟きながら考えていたりしたのだ。

 そして──。


「突然、教皇の“禁忌聖女ミスティック・セイント”からの使いとやらがきて、一通の書簡を渡してきた」


「いきなり教会トップからですか……」


「どこで知ったのかはわからぬが……『学校用にバギエルの屋敷を譲渡する』とあってな。かなり広い敷地をゲットしちゃったのである」


「ほうほーう、とんとん拍子ってやつですにゃ。魔王様は持ってますねー」


「フゥーハハハハ! そう、魔王の我を中心に運命が回っているような状態なのだ! 人間の幼体どもよ、魔王のスパルタ教育に恐れおののくが良いわ!」


 影絵のように浮かび上がる、我の不気味なシルエット。


「魔王様、顔こわっ!?」




* * * * * * * *




 我々は次の日の朝、現地に到着した。

 学校となる場所が、どんな雰囲気なのか実際に確かめるためである。

 王都から近く、裏手には狩猟用であったらしい森まで用意されている立地。

 そう、そこはバギエルの屋敷がある広大な土地。


 いや、屋敷があったはず(・・・・・)の場所、だろうか。


「フゥーハハハハ……は?」


「焼け野原ですにゃ~」


 バギエルの屋敷だったものは、炭になった建材が名残として残っている程度だった。

 辺り一面が、超高温で焼かれたような無残さを見せている。


「どういうことなの、これ。バギエルの屋敷を再利用して、学校として使おうと思ってたんだけど……」


「あ、そういえばドゥルシアの奴が『バギエルの家を見つけたから、戯れに焼き討ちしてくるのじゃ~』って言ってましたにゃ」


「どんだけ焼きたいの彼奴(あやつ)は!?」


 我はガックリとうなだれてしまう。

 どーしよー……。


「ここは、この人魔将軍イフィゲニアにお任せください。魔王様のお眼鏡に適う、素晴らしい学校を建設して見せますにゃ」


「おぉ、頼りになるのであるな! さすが我が魔将軍である……! これでまともな学校が完成したも同然なのである!」




* * * * * * * *




 数日後、我は学校建設がどうなったのか見に来ていた。


「あ、魔王様。視察ですかにゃ?」


「うむ、うむうむ。もうここまで建物の形をしているとは、さすがの手腕であるな」


「お褒め頂き光栄ですにゃ」


 黄色い安全ヘルメットをかぶった、現場監督っぽい雰囲気のイフィゲニア。

 ネコ耳用の出っ張りがあるヘルメットの上から、ポンポンと頭を撫でてやる。


 学校の方は土台も作り直され、柱も人間世界では珍しい鉄筋製となっている。

 ここから設備や壁などを徐々に作っていくのだろう。

 イフィゲニアの部下であろう獣人たちが、せわしなく働いている。

 あとで食べ物の差し入れでも持っていってやるのである。


「それにしても、この王都であれほどの鉄筋を用意するのは大変だったであろう?」


「いえ、簡単でしたよ。半壊した魔王城から持ち出してきましたから」


「そうかー。……ん? 魔王城から?」


「グゴリオンが突っ込んできて魔王城は爆散したのですが、今は改修工事が行われているのです。そこから、ちょろまかしています」


 えぇ~……。

 いいのそれぇ~……。


「ちなみにあの部分は超高純度ミスリルで、機魔将軍の私室から持ってきました」


「それ、本人のボディじゃないの!?」


「あっちの内装は、樹魔将軍の木材予定です」


「それも本人の一部で、しかも世界樹だからね!?」


「校長室には、魔王城の玉座を──」


 ……もう実質、魔王城じゃないのそれ。


 機魔将軍と、樹魔将軍も勝手に使われたと知ったら怒りそうなのである……。

 大丈夫なのだろうか、この学校は……ッ!?

 先のことを考えるとメンタルがキュッとして、胃が、胃が痛い……。

 うぐぐぅ……!!


「魔王様、顔こわっ!?」


「フゥーハハハハッ!!」


 とりあえず、笑うしかなかった。

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──────────────
新連載を開始しました。
国を救うことに疲れてしまった強すぎる竜装騎士が、相棒の竜と共に田舎に移り住むスローライフ(?)なお話です。
どうぞ、こちらもよろしくお願いします。


『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』
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