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【連載版】ホームパーティーに誰も来なくて、冷めた手作り料理を孤独にモソモソ食べる魔王様『……そうだ! 王国軍に一般入隊して魔族を滅ぼそう!』  作者: タック
2章 ホームパーティーをしよう!

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11饗宴 角と尻尾の魔将軍?

※三人称視点です。

 暗い路地裏。

 陽に愛されたような明るい色の金髪ツインテールを揺らしながら、その6歳の幼女はトタトタと歩いていた。

 少しだけ動きにくい、分不相応に重い剣を背負っていてバランスは危うい。


 それは以前キザイルが所持していて、命がけで幼女──ジャスティナに渡した剣だ。

  鳥魔将軍グゴリオンとの戦いのあとも、『いつか僕がそれに相応しい男になるまで使っていてくれ』と──預けられたままなのだ。

 なので大切に使わせてもらうことにした。


「キザイルさんの言ってたおみせは……こっちだよね?」


 ジャスティナは不安げにつぶやく。

 ひとりでも平気だと家から飛び出したものの、途中で道に迷いそうになったり、何となく路地裏の方が楽しそうだと未知に飛び込んだりして──。

 王都では珍しい“クラッカー”を購入しに小さな冒険をしている最中なのだ。


 現在地は、目的の店の方角に進んでいる……ような気がする程度である。

 今歩いている路地裏で誰かと出会えれば、道を聞いたりもできるはずだ、と自らに言い聞かせながら進む。


「で、でも……。そういえば、へんなウワサがあったような……」


 ジャスティナが見ている、暗く不気味な路地裏の視界にリンクして、オウマたちと話した都市伝説が思い出される。

 姿は暗くてよく見えないが、角と尻尾のような人外のシルエットが現れるという。

 もしかしたら……今、この瞬間にも現れるのでは……?

 ジャスティナは身をブルッと震わせる。

 いくら勇者の力に目覚めていたとしても、怖いものは怖いのだ。


 それに──“力は使えない”。


「おぉっと、お嬢ちゃん。1人で歩いてどこに行くのかなぁ……?」


「ひっ!?」


 誰かがジャスティナに話しかけてきた。

 今まで考えていたウワサのせいで、ビクッと跳び上がりそうになる。


「おいおい、怖がりすぎだろう?」


 存外、優しい声だった。

 それに安心して、視線を向けると──。


「何かするのはこれからだってのによぉ?」


幼女(カモ)高級剣ネギしょって来やがったぜ」


「た、食べられる、かな。オデ、だべられるかな!?」


 チビモヒカン、入れ墨ハゲ、デブリーゼントという見事なテンプレのゴロツキ三人組だった。

 着ているものは黒光りする革のジャケットや毛皮、オマケにドクロを頭上に載っけているのもいる。

 あまりのインパクトにジャスティナは呆気にとられていた。


「あ、あたしになんのごようでしょうか……」


 人は見た目で判断してはいけないとオウマに教えられたので、落ち着きながら質問をしてみたが……。


「おう、ご用だ。身ぐるみを剥がせてくれや」


 どうやら本当に見た目どおりの人間らしい。

 明らかな敵意を感じたジャスティナは咄嗟に、背中の剣に手をやろうとするが──そこで動きを止めた。


「おいおい、お嬢ちゃん。まさかそれで戦おうっていうのか? もしかして、この王都を救った“小さな勇者さん”にあやかろうとするブームでもきてるってのか?」


「ヒャハハ、もしかしたらコイツがホンモノかもしれないぜ!」


「うぅ……」


 他人にどんなことを言われても、ジャスティナは剣を抜く決心が出来ない。

 それは、師であるオウマの言葉が、どんなことよりも重く優先されるからだ。

 あのときに教えられた言葉──『誰かを守る時』だ。

 ……それ以外は力を使えない。


「そうそう、ガキは大人のいうことを素直に聞いてりゃいいんだよ」


「さぁ、ケガはさせないから身ぐるみを剥がされなぁ!」


 ジャスティナは認めたくなかった。

 こんなのが、オウマと一緒の“大人”だとは。

 小さな身体に伸ばされる、ゴロツキ3人の無骨な手。


 次の瞬間には悲鳴か、それとも無残に引き裂かれる衣服か。

 そう思わせる場面。

 だが──。


「な、なんだ……!?」


 暗い路地裏だが──さらに昏い真の闇がぶちまけられたように広がり、ベタリベタリと塗りたくられてゆく。

 その“魔将軍”のエーテルに、人間であれば一瞬にして戦意を失う事だろう。

 全員の視線が、闇が伸びてくる方向に向けられた。


 黒のみで形作られた人のようなシルエット。

 頭には龍の角のようなモノ、後ろに尻尾が揺れている。

 光すら逃げる異形の相手が近付いてくる。


「ひ、ひぃぃ!?」


「ご、ごめんなさーい! マジメに働きますー!」


「オデたち、ロリコンじゃないから、本当に金目の物をもらおうとしてただけなんでずぅ!」


 元々、根っからのゴロツキでは無かった三人組は一目散に逃げ出した。

 その“闇の主”は、なにかしようと思えば一瞬にして様々なこともできたのだが、特に目的でもなかったので歯牙にもかけなかった。

 ただジャスティナの方へゆらりと近付くだけ。


「つ、つの……しっぽ……」


 ジャスティナは恐怖していた。

 相手の強大な力に、というより、子供らしくウワサが怖いのだ。


「も、もしかしてドラゴンさんですか!?」


「にゃ? 違うにゃ?」


 一瞬にして周辺は明るくなり、そのシルエットだったものを現実へと形作っていく。


「ボクは猫獣人だにゃ~。こんにちは、小さな勇者さん」


 マイペースに猫っぽい言葉を喋る、猫耳と尻尾の獣人少年。

 水色のさらさらショートカットを陽の光にすかしながら、小さなジャスティナを見下ろして微笑んでいる。


「あれ? つのじゃなくて、おみみです?」


「うん? なにかと勘違いしてたのかにゃ? ボクに角なんて生えてないよ~。怖い龍神じゃあるまいし~」


 のんきに言葉を続ける。


「さっきまでくもってたのが、急に晴れたから驚いちゃったのかにゃ~。疑心暗()にゃらぬ、疑心暗()ってね。にゃはは」


 その姿は健康的な半ズボンに、白く清潔なシャツ、オシャレなスカーフを首に付けていた。

 ジャスティナからすれば、とても悪い存在には見えない。


「あ、そういえば、さっきのゴロツキたちを逃がしちゃったけど──……大丈夫そうだにゃ」


 路地裏から出たところでゴロツキ三人組は、駆け付けたオウマにラリアットを食らっていた。


「にゃっほー」


「お、お主は!?」


 魔王と人魔将軍イフィゲニアの再会であった。

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新連載を開始しました。
国を救うことに疲れてしまった強すぎる竜装騎士が、相棒の竜と共に田舎に移り住むスローライフ(?)なお話です。
どうぞ、こちらもよろしくお願いします。


『伝説の竜装騎士は田舎で普通に暮らしたい ~SSSランク依頼の下請け辞めます!~』
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