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以後気をつけます

 さて、ここまで淡々と私の記憶と今後について話してきたけれど、正直これからは決めていない。記憶を手にしたところで主人公がそうだったように、私は本が好き。前世も本が好きで、転生しても本が好き。何の因果か、それは知らないし興味もないけれど好きなことに変わりはない。前世の親も、今世の親の事も好きなように、好き。そしてゲームのシェヘラザードのように物語を書くことも好き。私の手で何かが紡がれるそれはとても心地よいことだと思える。もしかしたら私が前世だと思ってる話も、もしかしたら私が創造した話の可能性だってある。それは否定しない。けれど、それでも、この世界について何も知らない幼子の私がほかのご令嬢や子息の名前、さらに王子の婚約者など知るはずない。ならば、この記憶は本物なのだろうと、思う。現実がその通りになれば、だけれど。


 そう言えばこの世界については話してなかったか。本が好きな私が紹介しよう。もちろん自慢である。なんてったって私は5歳の頃から本の虫なのだ。ちなみに家族全員。この世界というか私がいるこの国の名前は『シャフリヤール』、王者の意味を持つこの国は正直歴史は浅い。しかし、王者の意が付けられているのには相応の理由がある。その名の通り、この国は世界に勝ったのだ。この世界には公にされている国が6つある。最も大きい国、カイド帝国。名前の由来は大昔の聖女様の名前らしい。次に大きい国はランブレラ共和国。次に大きい国はサクラ王国、次に大きい国はフルブレック帝国、次に大きい国はスウェル王国、そして私の住むシャフリヤール帝国。一番小さいが、しかしどの国より強いのは、シャルリヤールである。



 実のところシャフリヤールは元々カイド帝国内の地域の一つ一つの集まりだ。昔のシスティ帝国国王は酷く独裁的であり、特定の地域のものは虐げられてきた。その虐げられた地域が集まり、反乱を起こしたのが始まりだ。当時カイド帝国は他国にすらその権威を示していた。その権威を使い、鎖国的なはサクラ王国を除きほぼ全ての国を従え、反乱を収めようとしたが、その反乱の中に異常な強さを誇る強者がいた。その人の名前はサターン・ギルウェル。そう、後にこの国の最初の王になる人である。サターンは反乱者を密かに教育し、その強さはどの軍勢と比べても遜色ない強さを誇る程となっていた。その強さで大量の犠牲者を出しながら突撃し最後には王の首を討ち取った。故に、世界の勝者としてこの名なのだ。


 ちなみにその場で堂々と宣言する言葉はシャフリヤール王国に後世つけ継がれ続けることとなる。


「我々は国家となる、誰にも邪魔だてはされぬ」


 このセリフは学校(ここでは学園と呼ばれる貴族の行く場所だ。特例で平民も受け入れることがある。条件は貴族の推薦があること、そして頭が良いこと。ちなみに軍人学校ならば貴族推薦がなくとも腕さえ確かなら入れる。女子でも可能)でも、各家庭でも骨の髄に染み渡るまで教えられる言葉だ。数え方も知らない幼子ですら、この言葉を知っている。知らない子供は親に不審な目を向けられるのだ。孤児は孤児院ですら教わる。


 それほどまでにこの言葉はこの国に革命を与えたのだ。


 そう、シャフリヤールは反対に海、反対に世界一の国を抱える国なのである。軍事力が高いのは王家が率先して軍人を育て、カイドに隙を見せないためだ。ただでさえ人口が違う、少し弱くなれば押されてしまう。そんなギリギリの綱渡りをこの国は100年は続けているのだ。すごいものである。


 さて、ここでこうして回想に浸ってはいるが、私にも貴族生活がある。しかも伯爵家、男爵や子爵よりもうえ。


 やることは沢山ある。ダンスレッスンとか、言葉遣いとか、歴史とか、貴族名とか、そう、とか。まだまだある。


 これは記憶を思い出した副産物だが、酷く憂鬱になっている。だって今までは当たり前だったが、当たり前ではないと知った今、やりたくない気持ちが多い。だからといって放置できないのもまた事実。ここは腹をくくって行くしかないっと、眠気眼の目をこする。その姿にそばに控えて服などを着せて、今は髪を整えていたメイドが自然に手を下げる。あ、はい。ダメなんですね。


 すみません。以後気をつけます、多分。

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