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ぼくのかかった変な病気  作者: 日木玉 鉄才
7/8

結界作り

ぼくは急いであぼうが言っていた場所に向かうことにした。


あぼうとわぼうはかっちゃんに乗って

山の向こう側のお札を貼る場所に移動している。


ナニワガッパは川を高速で泳いで

目的地に向かっているらしい。


希美子は動かなくていいので

もう準備は出来ている。


ぼくの見たところ合図に

間に合わない可能性があるのはぼくだけだった。


かっちゃんが空で火を噴いた瞬間に

ぼくがまだ目的地についてなければ

結界を作るのは失敗するのだ。


ぼくは駆けに駆けた。


走っていると

道ばたでノウガキが木の皮をはがしているのが見えた。


ちょっと怖いなと思いながら無視して走ると

ノウガキが後ろから後をつけて走ってきた。


でもノウガキの走る速さはぼくより遅いので

追いつかれずにいる。


けっこう走って疲れたので

ちょっと歩いても大丈夫かなと後ろを振り向くと

追いかけてきているノウガキが三匹に増えていた。


あわててぼくはまた足に力を入れた。


お腹がよじれるように痛くなったときに

目印の大きな岩が見えた。


そこにはちゃんと陰磐城と彫られている。


やった着いたと思ってぼくは空を見上げた。


でもまだかっちゃんは空に見えない。


合図の時に目的地に来ていない心配ばかりしていたけど

思ったより早く着いたようだ。


なら、ここでじっと合図を持たないといけない。


ということは


とそこまで思ったときにぼくの周りに五匹のノウガキがいた。


ノウガキは小人のわりには大きな口を持っていて

鋭い牙が見える。


目は血走っていて

坊主頭で角みたいなこぶがあった。


はっきり言うと見た目がけっこう怖い。


ノウガキが飛びかかってきたので

ぼくは手を振り回して近寄らせないようにがんばった。


「くるな、くるなよ」


ぼくはそう叫びながら手をぐるぐる振り回す。


でもノウガキに足を取られると

ぼくは転ばされて

その隙を突かれて

次々とノウガキがくっ付いてきた。


殺されると思って目を見開くと

ちょうどかっちゃんが空で火を噴いていた。


あ、と気がつき

手に持っていたお札を地面に叩きつける。


するとお札が青白く光り

その光は回りにさーっと広がった。


そのとたん、ノウガキはギャーと悲鳴を上げて消えてしまう。


ぼくは立ち上がると

服についた土を払いながら

「こんなに怖いなら引き受けるんじゃなかった」

とつぶやいてしまった。


辺りのノウガキが消えたようなので

ぼくはゆっくりと歩いて希美子のいる場所に戻った。


元の場所に戻ってみると

あぼうもわぼうもかっちゃんも戻っていた。


ほかに河童が何人かいたけど

河童の見分けがつかなかったので

ナニワガッパが戻っているのかぼくにはわからなかった。


「ありがとう。ごくろうさま」

とあぼうがいたわってくれた。


「結界の光きれいだったね。もう一回やりたいなあ」

とわぼうがのんきなことを言っている。


「泥だらけになっているけど大丈夫?」

と希美子が心配してくれる。


「大丈夫。疲れたけどね」


「これでやっと病気を治してもらえるね」

と希美子がにっこりとわらった。


ぼくも笑顔を返す。


久しぶりに笑顔になった気がした。


「さて、用事も終わったし帰ろうか。

君たちの相談は陰武蔵の里に着いてから聞くよ」


そうあぼうが言ったのでぼくたちはかっちゃんの荷台に乗り込んだ。


今度はお願いして、ゆっくりと飛んでもらう。


ゆっくり飛ぶと、景色が最高で

風も心地良いので

こんなに気持ちいい乗り物もないな

とぼくは思った。


かっちゃんは最高だ。


「前の地震のあとから

あそこからノウガキが大量発生しているんだ」


あぼうはそう言うと遠くに見える強大な建物を指差していた。


その建物は壊れているのか

煙がその建物からは出ている。


その建物が何か良くわからなかったけど

人間が造ったものであるのは間違いない。


人間が妖怪にも迷惑をかけているのだなと

僕は悲しくなった。


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