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ヴィタリスト =命と闇の合従= <ミングル編>  作者: 柳刃公平
第九章 仲間(コムレイズ)
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第93話  計画を練る者たち

 

 全員が朝食を済ませた朝7時半頃に訪れる、碧とグループ部下の1人。

 機材を持ち込み、備え付けの大型液晶ディスプレイに、映し出した。小型ドローン二機による上空からの映像。島近くの船上で視察隊が、操作していた。

 少年の姉、光がいるだろう別宅の様子だ。ライヴで敷地、建物、警備体制などを確認。8時、監視するメンバーが交替を始めている。昨夜からチェックしていた部下たちの報告で、夜20時交替による一日二交替制が、判明した。

 さらに二階建ての建物に可能な限り近づき、望遠で内部観察。複数の警官、数人のスーツ姿の男たちが、見受けられる。敷地内にいるのは多くて、20人程度。

 敷地周辺、島全体も探索。救出実行シミュレーションを思案することに。


 銃を保持している相手だ。それにコチラの動きを察知しているだろう。さらにNSネス側の奉術師ヴィタリストが待ち構えていることも、否定出来ない。被害を最小限に抑え、救出者に危害が及ばないよう、少人数で、かつ迅速な行動が要求される。


「レイさん、湊さんは、ここで待っててください。嵩旡くんも残って、3人を護ってもらいたいんだけど……。

 僕と須佐野さん、それから阿部阪さんの指示で合流することになってる3人の建毘師と一緒に、乗り込もうと考えています」


 攻撃可能な青年直毘師の案だ。それに同調した空手六段の須佐野だが、一つ付き加えた。


「レイちゃんを同行させたい」


「危険すぎます」


 速攻で反対したのは、守護者の嵩旡。碧もレイ自身も、その案に驚きを示す。


「もし、タイムリミットまでにお姉さんをココへ連れて来られない場合、遠隔で転命てんみょうを行なうと思うが、どうだろう!? 」


 さらに大男の驚きの案。


「遠隔、転命!? そんなことが出来るんですか? 」


 問うてきた少女命毘師に、応える大男進毘師。


「あぁ出来る! 俺は二度、経験した。そのうちの一度は、レイちゃん、君のお母さん、菜摘さんとだ」


 喫驚の事実である。須佐野と母がコラボしていたことなど、想定していなかった。その方法と成果を簡単に聞いた、菜摘の娘。伝書にも記載されていない術で、成功するか不安はあった。しかし、行動しなければ始まらない。同行することを承知した。

 彼女の意志を尊重し、渋々だが了解した嵩旡がいた。ただ、少女命毘師の守護者である少年建毘師は指揮官に、事情報告した。


 作戦は、薄暗くなる18時半に決行。警察隊員たちの20時交替時間の前に片付けたい、意向である。しかし、NSネス側の奉術師ヴィタリストの存在が、把握出来ていなかった。力量にもよるが、直毘師なおびしが待機している場合、碧がその対応をすることになる。もし進毘師すせりびしがいるならば、碧の闇儡攻撃は清原によって無となる。時間が掛かれば数的不利に立たされることは、目に見えていた。

 短時間勝負。迅速な救出を決意するメンバーであった。



 10時頃から少年の手術。七ヶ所の受傷と胸部骨折などの処置のために。

 死後硬直を防ぐため、建毘師の術により保護されていた肉体。部屋から庭の手術室へ運ばれた。そこには、またもや4人の初見の代物。20フィート大型ボックスのオペが可能な、移動式手術車である。

 伊武騎グループが開発、災害派遣医療や緊急移植手術などのために関西医大付属病院に配備していたものを、呼び寄せてくれたのだ。岡山県行政と司法などへの手続きも、済ませていた。

 ベテランの外科医と看護師らによって、スムーズに手術は施され、4時間で終了。眠れる少年は、命毘師によってみょうを吹き込む、だけとなった。


 受傷6ヶ所にめり込んでいた残骸は、グループの子息に報告された。唖然とする彼の持つピンセットには、ある昆虫と思われる体の一部。それが何を意味するのか、彼には理解出来ていた。その目元と口元に、驚き、恐れ、そして興味心が色濃く現れていた。



 

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