奄美のリアル事件簿 『人肉は豚肉の味がするらしい』
さて本題。かなり昔のことだ。前の会社で、先輩が調査していた群馬県の遺跡を訪ねたことがある。道路建設予定地で、急ぎの現場だ。遺跡を覆う表土をうず高く路線内の空き地に積み上げていた。先輩が運転する車の助手席に座った私は、奇妙な話しを訊いた。
「あの排土山の後に婆さんが歩いてきたんだ。気にも留めずに作業員さんと仕事を続けてたら、黒い煙があがって、焼肉みたいないい匂いがしてきた。ガソリンを使った焼身自殺だったんだな。地元・作業員さんの話だと、ご亭主が浮気していて、ノイローゼになっていたんだそうだ」
そんな話をした。事件になんのトリックもない。きわめて衝動的な自殺だ。
昨今DVDで視たホームズの事件簿にこんな物語があった。ピストル自殺をして、富豪の亭主が色目を使っている家庭教師に罪をなすりつけるトリックだ。石のついた紐を銃挺にくくりつけ、頭にむけて引き金を引く。自決が完了すると手から離れた拳銃は池の中に落ちる、というものだ。その一方で、自殺した夫人は事前に家庭教師を呼び出しておき、アリバイを潰しておくのだ。なんだかホームズが事件を解決してもあまり嬉しくないエピソードだ。
DVD鑑賞後、群馬の焼身自殺事件とどうにもイメージが重なり、しばらく豚肉が食べられなくなった。
了
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ノート20130402




