表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
91/100

奄美のリアル事件簿 『遺物窃盗未遂事件』

 遺跡には古墳二基と、素掘りの墓穴が一基。それから古墳時代の竪穴住居跡が六軒、古代の道路跡がみつかっている。古墳と墓は七世紀、竪穴住居跡は四世紀、道路跡は七世紀から九世紀の間にあると考えている。

 遺跡に出入りするのは、作業員十八名と調査員の私・奄美だ。

 未舗装の道が遺跡の真ん中にきているものだから、散歩する人がのぞいてゆく。ただ集落の外れの高台で、そこを通る人は限られている。

 自称郷土史家の沢田氏、犬を連れた西川夫人、遺跡に隣接した畑の所有者である神田氏くらいのものだ。

 昨日、ちょっとした事件があった。

 竪穴住居跡の床面にあった土器を覆っていたビニールが、何者かによって剥がされていたのだ。いまにも盗もうとしたのだが、散歩をする人か、隣接する畑の地主さんにみつかりそうになり、そのまま逃げたような雰囲気だ。出勤して遺跡に着いた直後の私が異常に気付いた。

 犯人は誰か。

 自称郷土史家の沢田氏は竹竿を杖にして、眼鏡をかけた老人だ。私や作業員に声をかけて、三十分以上遺跡にへばりつく。けっこう邪魔だ。昼ごろやってくる。経験上、こういうタイプは、人がいない朝とか夕にこっそりやってきて、遺物を盗むタイプだということを知っている。

 西川夫人は無愛想だ。路際にシートを丸めて置いたところ、そこに犬が用を足しても気にも留めないでいた。遺跡にはまったく興味がない様子だ。

 神田氏は遺跡調査範囲になっている土地の元所有者である。調査には非常に協力的で、資材などが遺跡地内に残っていたりした場合、報せると、速やかに撤去してくれる。いつもにこにこしていて、遺跡に興味をもっているようだ。

 遺物のカバーに異常があった当日、郷土史家センセイは、昼にきた。

 遺跡に無関心な態度の犬散歩夫人は夕方にきた。

 すると犯人は、にこにこ顔の元地主さんだ。

 カア~。

 帰りがけ、つがいの烏が舞い降りて、例の遺物を覆っているビニールを引きちぎっていた。習性というのか、好奇心というのか、犯人は彼らだった。かくして探偵奄美は事件を解決したのである。

     了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ