随筆/大津いじめ問題
いじめは犯罪とする世論。それはいいとして。ここの雑誌社『女性セブン』の報道姿勢がいじめ中学生と同じ。コメント投稿も、大半が、「カス」「死ね」……といったいじめ用語の羅列。はいそうです。僕らは、正義の味方づらをした残忍な変態軍団で、僕たち大人が、いじめのヒナ型をつくってます。記事を挙げておく。こういう題がついていた――「大津いじめ加害少年 転校先で「めっちゃ頭いい」と当初人気。
記事の内容は。
「昨年10月に滋賀県大津市の市立中学2年生がいじめを受けて自殺した事件では、7月26日からようやく大津署が生徒約300人への聞き取り調査を開始した。いじめたとされる3人の少年は暴行、傷害、恐喝など6つの容疑で、早ければ8月中にも逮捕・補導される見込みだ。/グループのリーダー格だったとされるのは少年A。父親は京都市内で会社を経営し、母親は昨年度までPTA会長を務めていた。
『A君の母親は<『自殺した子の家庭に問題があって、うちの子はその悩みを聞いてあげていただけ><とっくみあいでストレスを発散させてあげていた><亡くなっている子の親やから気遣ってあげていたのに…>と周囲に話していました』(近所の住民)/母親は教育熱心なタイプで、自殺事件後の4月には、騒動が子供の勉強の邪魔になると、京都市内の中学校へ転校させている。その転校先でAは意外にも「いい人」で通っていた。同級生の男子が明かす。/『Aは水泳やっててガタイがいい。身長は170cmくらいある。しかも、口調が優しくて、めっちゃ頭がいいから、転校当初は女子にも人気やった。成績がオール5の女子でも『A君、これであってる?>と数学の問題を聞きに行ってたほど』(同級生)/しかし、7月ごろからいじめ事件の当事者であることが広まると、クラス内には微妙な雰囲気が流れた。/「女子はそういうのに敏感やからな。もう完全無視。いまは男子も腫れ物に触る感じになっとる。改めて思い返してみると、うちらには優しい口調でしゃべるのに、転校前の学校の友達に電話するときは、『なんやねん? はぁ? ああ!』みたいな怖い口調やった。裏の顔があったんや」(前出・同級生)/(※女性セブン2012年8月16日号より)」
私はこの記事がネットでニュースが配信されていたのでそこにコメントしておいた。「セブン様。前にも申し上げたとおり、御社はイジメの側。庶民の味方じゃなくて営利的な情報で大衆扇動をしている。いじめ中学生と根っこが同じで、大人であるぶん悪質だ」(8月2日 20時33分)
少数派の異論がでると叩きたくなるのが世の常だ。さしあたり誤字を指摘してバカは黙れと難癖をつけるわけだが……。「扇動って、懐かしのジュリアナでっか? 正しくは『煽動』」(江頭キチジロー8月2日 20時34分)。
バブル崩壊直後東京六本木でディスコをやっていて、入場者に扇子を配ったことがある。この人はそれをいって揚げ足をとっていらしゃる。
もちろん反論しておく。「現代用語では『扇動』、『煽動』は小説なんかでつかわれます。ジュリアナ、懐かしいですね」(8月2日 20時39分)。常用漢字を知らないようなので幕末の人と推定される(爆)。
他方、私と同意見の人もいた。「勘違いするようなタイトルつけるのはやめてくれ!煽るな!」(きらりん8月2日 20時34分)。
同誌はさらに扇る。――「大津いじめ加害少年の1人 転校後不登校状態で家で歌の練習」
記事の内容は。
「大津のいじめ自殺事件では、加害少年3人に対して、暴行、傷害など6つの罪で大津署が取り調べを進める。だが、報道によって警察が動かなければ、彼らは“野放し”にされていたはずだ。/3人のうち、リーダー格なのは、高台の高級住宅地に住むA。母親は過去にPTA会長を務めたこともある。そんなAは騒動を避けるように、昨年11月ごろに京都市内の中学校に転校。Aの転校先と同じ学校に通う生徒が明かす。『大津の自殺のことは、Aが転校してきたときから相当うわさになった。それでもAは涼しい顔しとるから、“酷い奴や”と、みんな自然と口きかんようになったわ』/そして、Aと同じ住宅地に住み、加害少年の1人Bは転校せず、大津市内の中学校に在校している。男子生徒が自殺した後は遅刻や早退を繰り返すようになり、現在は不登校状態。自宅では音楽を大音量で流しながら歌の練習をしているという。/もう1人の加害少年Cは、両親が離婚、養育者の母は再婚とやや入りくんだ事情を抱えている。そんなCはこの4月に、京都府宇治市内の中学校に転校。その後は、髪の毛を茶色に染めるなど生活態度が荒んでいき、6月中旬には転校先の男子生徒1人を集団で暴行する事件を起こしたといわれる。/まるで反省の色も見えない加害少年たちの行状は、すでに一部報道によって知るところとなっている。/いじめに加わった生徒や、いじめを見過ごしてきた教師がその報いを受けない──この現実は多くの国民の憤りを生み、『いじめを犯罪と考えて厳正に対処せよ』という厳罰化を望む声につながっている。」(※女性セブン2012年8月9日号)
配信元にコメントしておく。「女性セブン、煽ってない? これでは更生のしようもない。逆いじめ。逆の観点から法による処罰は必要と感じた。国を売ってきたマスコミがいうとねえ…」
佐藤浩市主演の『誰も守ってくれない』という映画があった。犯罪者の家族がマスコミや、ネットの叩きを受け追い詰められる。主人公の刑事は殺人犯の妹である少女をそういう「敵」から守る役割になっていた。あの映画をみた人も、いまは「叩き」の側だろうか?
了
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ノート20120802/校正20160516