奄美のリアル事件簿 『カルテット・ミステリー』
先日の日曜日のこと、結婚記念日と家内の誕生日で、イタリアンの食堂「トラットリア・チィーニョ」というところに行ってまいりました。群馬県立図書館の対面にあるビルの一階に収まったところです。
ランチバイキングで長机の上には、十数種類のパスタと添え物があり、予約をとったわれわれは、奥の角の席に座りました。テーブルは四人掛け、入口側席に腰を降ろした家内の背後には、ついたてがあります。
通路を挟んだ横の席には、ラテン系の御夫人が二人。それはそれで魅力的ではあります。しかし私が興味をもったのは、さらに後方にいる男子四人組です。
二十代後半から五十代、白いシャツに黒いズボン、さりげなく指輪やブレスレッドをしていて妙に似合っています。レストランに近いホールでは、名門群馬交響楽団がときどき演奏していたりするので、最初は団員さんかなあと思いました。
後ろ向きの恰好になった家内に、小さく指さして、ダンディーな男たちの存在を伝えます。
「あ、判った。となりのラテン系の女の人たち、ハンケツ半ズボンのことよね?」
「違うよ、ダンディー四人組だよ。昼間っからホストのような姿は謎だ」
「そういえばそうよね」
私たちにわか探偵はいろいろと彼らの素性を詮索しました。彼らが座る席の後ろ側に、バイキング料理の盛り付けがあり、そこから皿にとります。彼らが、本庁の権限とか警察機構の話題をしているのが訊こえます。
実は張り込みの刑事、夜になったら、ホストに化けて、夜の街で張り込みをするのではなかろうか?
二人は食事を済ませ少し休み、私が手洗いに行っている間に、家内が会計を済ませます。店の外はホールのようなところで、小さい通路が店の隣を奥に向かっており、通路を挟んだ店の隣には育児室、奥には結婚式の控室があります。
何気にみていた私の後ろに、家内がきて、
「みてみて、あの人、さっきの人だあ。みつけた!」
と興奮ぎみに教えてくれました。
四人組の一人でした。四十代半ばくらいの、肩幅のある男性。
「こらこら、大声をだしちゃいけない。指までさして」
同じホールに収まっている結婚式場係員の皆様でした。
赤面。
了
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ノート20120731




