表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/100

奄美のリアル事件簿 『奄美VS暴走族』

 学生時代、どちらかといえば細身だった。半年ばかり床屋代を浮かせていたところ、みどりなす黒髪が背中まで伸びてきた。父が入院したので見舞う。六人部屋だ。当時は看護婦と呼ばれるところの女性看護師から、蒲団カバーの取り換え方を教わる。

 家に帰ると、後から戻ってきた母が、「相部屋の方から、素敵な娘さんですねっていわれたわよ。看護婦さんがいらっしゃって、あら、お髭を生やしていたわっていった」と笑った。

.

 アルバイトの給料が入ったので、読みたい本をまとめて買った。夜中、八王子の多摩センター付近に住む友人宅を訪ねようと、大通りの歩道から、市営住宅前の小さな公園を横切ろうとした。

 そのとき、スクーターに乗った暴走族が後を追ってきて、円を描いて囲んだ。包囲殲滅陣形というやつだ。十台ぐらいいる。けたたましいエンジン音。ライトが眩しい。

 私は、ジーンズの上着とパンツ、中はシャツ、スニーカーといった格好だ。本を武器にして戦う構え。蟷螂とうろうの鎌というもので、かなう数ではない。認めたくないものだな、若さゆえの誤りというものを……。(←シャアかよ!)

 リーダー格の男が、わが口髭をみた。

「なんだ、男か……」

 族は囲みを解いて、また大通りに戻っていった。

.

 そのことを人に話してみると、「女の子だったらやばかったですね。髭ですくわれたんですよ」と誰からもいわれる。ある人は、「もし奄美さんに髭がなかったら襲われて、男か、まっいいかあ……ってなって掘られていたかもしれませんよ」

 ……で、オチ。

 遺跡屋は竪穴住居跡を掘ってりゃいい。掘られたらたまったものではない。

 追記/そういえば、後日、こんな噂が……。当時、某大学空手生が住む寮が近くにあった。暴走族が連日騒音をまき散らすものだから、角棒をもった寮生が、走行中のスクーター車輪に、そいつを投げ込んで転倒させ、ぼこぼこ、にしたとかしないとか。こっちのほうが怖いかも。

     了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ