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奄美のリアル事件簿 『一家五人惨殺事件』

 私の故郷・福島県いわき市が市町村合併で誕生する前は、同地域には、内郷市という自治体が存在した。炭鉱の町で、外部から貧民層が押し寄せてきたものだから、他地域よりアウトローが多くなるのは必定のことだった。大正から昭和時代に変わる1920年代の事件だ。祖母が話していたもので、記憶している人は数えるほどであろう。遠縁の親戚のところでそれは起きた。

 被害者宅を仮に沢口家としておこう。隠居の喜兵衛、妻さと、当主夫妻の平次とヨシ、それから娘の春奈の五人が暮らしていた。後継ぎの長男・新太郎は、職人のところに住み込みで修行に行っていた。このあたりでは旧家の部類に入る中小地主で自作農家である。そこで、一家惨殺事件が発生した。

 犯人がどのように侵入し、室内が荒され、家人を殺害に至らしめたのかといった仔細は伝えられていない。犯行は深夜未明である。犯人は捕まっておらず、事件は迷宮入りになった。長男の新太郎は、修行に行っていたので助かり、家族の葬儀をして、家を継いだ。

 事件後、被害者だというのに巷では同家のことを久しく「五人殺し」という俗称をつけた。さらにどんな恨みをかったか判らないので、「縁起が悪いから婚姻をもつな」といっていたようだ。酷い話である。祖母は、そういう話をどうせ私に伝えるなら、そういうことをいう人の名簿でも作っておいてくれると良かったのにと思う。田舎臭い豚と絶縁できて良いではないか。

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 事件概況

●事件は農家の家族五人の寝込みを襲ったものである。

●一家惨殺の事件例の場合、怨恨、ストーカー、強盗が考えられる。

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 奄美の所見

●怨恨説の場合は物陰に隠れて標的の人物一人を狙って匕首でぐさりと刺せばいいことだ。被害者は農家であり、一家をあげて恨まれるという理由が見当たらない。第一後を継ぐ長男の新太郎を殺していない。

●ストーカー説はふつう単独犯だ。若い女性の一人暮らしか、母・長女・二女といった女性数名で暮らす家が標的だ。

●強盗説は、被害者宅に男数人がいる場合は、寝込みを襲うとはいえ、人数を要する。

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(結論)以上から強盗説を採る。少し前に起きた中国人留学生による福岡の資産家宅強盗の例のように、複数による犯行だ。

      了

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