21/100
読書/柳広司『ジョーカー・ゲーム』ノート20171212
柳広司『ジョーカー・ゲーム』角川書店2008年
『ジョーカー・ゲーム』は、サマセット・モームの『アシェンデン』をベースにしたと思われる短編スパイ小説シリーズだ。まず、『アシェンデン』を紹介しよう。そこに登場する同名の人物は、第一世界大戦の折、イギリス情報局MI6のR大佐にスカウトされた作家で、対象地域に赴いて、手足となる現地スタッフを動かし諜報活動をさせ、報酬を支払う。ゆえに、アシェンデンは語り手として毎回登場するのだが、主人公は現地スタッフで毎度変わることになる。
この基本構図は『ジョーカー・ゲーム』でも同じだ。ただ、本作では、第二次世界大戦前夜の大日本帝国スパイ養成学校D機関内部で、アシェンデンとR大佐の立ち位置が統合されて、結城中佐に置き換えられている。
柳広司氏の作品は「ジョーカー・ゲーム」、以下「幽霊」「ロビンソン」「魔都」「XX」となっている。また、本作の解説は元官僚で作家の佐藤優氏である。
ノート20171212




