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クリスマスの出来事

作者: 砥和 浩

今日はクリスマスしかも世間では三連休という実に憎たらしいクリスマスだ。

なんで憎たらしいかって?

それは私には休みがないし彼氏もいないから。

いや、彼氏は要るにはいるがこうイチャイチャすることはない。お互い初めからそういう性格なのだ。

向かいの席に座っている自分より若い一組のカップルが楽しく話している。


"リア充爆発しろ!!"



電車を降り改札口を通りぬける。列車を降りた人物は10人もみたない人数だ。

皆さん寒いし早足に駅をあとにする。

帰りみち。片田舎の駅風な殺風景な駅前を通る。

小規模なロータリーの真ん中に広葉樹の木が一本植えてある。ここ一、二週間ほどで黄色く染まっていた葉は抜け落ちるように紅葉を終えた。

タクシーは一台もいない。ロータリーの片隅にタクシー電話がありそれでコールオブタクシーするみたいだ。無論私は利用したことはない。



5分程歩く。一級河川に架かるわりかし大きい橋をわたる。

橋の中央あたりにここ最近設置された黄色い箱が置いてある。

『凍結防止剤』

財政難な市がスッテンコロリンと転ぶ人達に気を利かせて配備したみたいだ。



さらに5分程歩く。電飾で表面状は賑やかになった住宅街を横目で見、歩く速度を速くする。

形がない青や白の光りの弾幕。サンタさんぽいカタチをした電飾。

どれも意味を見出さない物のように見えた。



早足でさらに5分。もうすぐ家だが、第6感がものもうす。私の第6感はいわゆる勘ではなく、霊感というものだ。霊感、それは普通では見えないものが見える特殊能力だ。

その霊感が感じとった方向に目を向ける。暗いが何かが動いている。

赤くて長細いものだ。少しだけ近づいて目を凝らす。

"………"

なんというか。小人がいた。赤い服と帽子を着けて大きさは手を広げた程の大きさだ。肩には白い袋が提げられている。あれだ、よく庭の装飾品のあのような感じのヤツが15人ほど一列で歩いている。

まるでサンタだが…なんか違う気がする。小さいし、髭が真っ白ではなくそれぞれ違う色をしている。

1人緑色の髭をはやした小人がこちらに気がついたみたいだ。目があう。

"………"

緑さんがストップしたことにより後ろの隊列が乱れる。周りの小人たちも私に気付いたのか一瞬で小人たちはパニックに陥った。

"あれ?やっぱり人に見つかったらダメなのかな?"

悪いことをしてしまった。

一斉に木陰に隠れていく。

1人だけ大切な荷物を落としている。白い袋、消しゴムぐらいの大きさ。

摘まんでみると以外に重量級だった。

木陰の脇にそっと傷つけないように置く。

その場から私は離れる。

たぶん私がいると取りに来てくれないと思う。



『あいつらは信仰心により具現化しているからな』

膝の上に座るヌコが言う。そう猫である。

『最近の子供はサンタさんなんか信じていないからな、絶対の存在と信じている子供なんか一握りだから、たぶんそれでしっかりとした姿見に具現できないんだろう』

「成る程だからあんなに小さく映ったのか」

「本物のサンタなんかいるのか?」

風呂上がりの彼が疑問を吹っ掛けてくる。

『本物のサンタなんていない。だが子供たちのこころの中のサンタはいるし信心があれば具現化し人の前にも出てくる。だがその子供たちのサンタイメージによって姿は変わる』

「へぇ~よく解らないな」

彼はそう言ってからいそいそとワインを取りだしてきた。どうやら早くウダゲを始めたいらしい。

「知ってた?クリスマスってさキリストが生まれた日じゃないだよ」

あえて話題を振ってみる。

「知ってる。それより食べよう」

華麗に流された。

"………まぁ~いいか"

そうこころの中で呟きローストチキンの前に座る。

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