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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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212/223

第212話 冥府崩壊

アダプトキングの進化が始まった瞬間、冥府回廊の空間そのものが悲鳴を上げた。


黒い玉座の奥にいた“核”が初めて明確な敵意を見せる。


圧力が一段階上がる。


戦場が沈むように重くなる。


だが、その中心で光が広がっていた。



「押し切るぞ!」


ヴァルグランが叫ぶ。


影王が核へ突入する。


夜狼王がそれに続く。


もう制御されていない。


本来の動きに戻っていた。


空間が裂ける。


死霊騎兵が崩れ落ちる。


再生が追いつかない。



核が動く。


圧縮。


空間ごと潰す一撃。


リリスが叫ぶ。


「来ます!」


だがその瞬間。


アダプトキングが前に出た。


「全部繋げ」


短い言葉。



終号が反応する。



統合進化完了



アダプトキング



アダプト皇王



軍団リンク完全接続




光が爆発する。


世界が一瞬静止する。


そして。


“繋がる”。



ヴァルグランの視界に影王の位置が見える。


夜狼王の呼吸が分かる。


飛行部隊の軌道が共有される。


全員の判断が一つになる。



リリスが息を呑む。


「これ……全部同時に……」


「見える」


アダプト皇王が言う。



核の攻撃が来る。


だがもう遅い。



影王が影を裂く。


ヴァルグランが正面を破壊する。


夜狼王が上空から食い込む。


飛行戦力が逃げ道を塞ぐ。



そして。


アダプト皇王が一歩踏み出す。


「終わりだ」



一撃。


それだけだった。



核が止まる。


空間が割れる。


冥府回廊が崩壊を始める。



リリスが呟く。


「勝った……?」


「勝ったな」


アルベルトが静かに答える。



その瞬間。


夜狼王の拘束が完全に消える。


赤い瞳が澄む。


そして――


ゆっくりと地面に降りる。



沈黙。



終号が表示する。



冥府回廊崩壊



奪還対象解除



夜狼王


復帰確認




リリスが息を吐く。


「戻りましたね……」


「戻ったな」



ヴァルグランが笑う。


影王が影を収める。


飛行部隊が上空を旋回する。



だがアダプト皇王だけは、まだ奥を見ていた。


「まだ終わってない」



全員が見る。


核の奥。


そこには扉があった。


黒い。


重い。


そして――


見覚えがある。



アルベルトが目を細める。


「最終保管庫……か」



リリスの顔が強張る。


「ここに繋がるんですか……?」



終号が反応する。



接続確認



三十年前の研究記録


完全一致




静寂。


勝ったはずの空間に、新しい“入口”が開く。



アダプト皇王が言う。


「行けるな」



アルベルトは短く答える。


「当然だ」



忘れられた洞窟は冥府回廊を突破した。


だがその先にあったのは、勝利ではなく“続き”だった。


三十年前の研究。


王喰。


そして最終保管庫。


すべてが、まだ終わっていない。


戦いは終わりではなく――次の段階へ進んでいた。

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