「一緒に行きましょう!」
リリィの突拍子もない条件に、大声を出してしまう。
「はぁ、どうして?あなたが一緒に来るの!?」
「で、何処に帰ります?やっぱり、記憶を取り戻すためにそのサーフィア近くのベンチに一緒に行きましょうか??」
「……」
私が驚きで口と目を大きく開けて大きな声を出したが、リリィは目をキラキラさせながらすでに一緒に帰る前提で話を進めようとする。
まてまてまてまて。
私が言うのもなんだけど、捕虜になる方が普通じゃないか?
どこの世界に魔王の側近と共に人間の町に帰る勇者が居るんだ!?
私はリリィの方をゆび指した。
「そもそもあなたは魔王の側近でしょう!?」
「そうですけど……それが何か?」
リリィはきょとんとして首をかしげる。
あまりにも冷静な返事をされてしまい、こちらが落ち着いてしまう。
「いやいや、そんな冷静に答えられても……そもそも魔王の世話は大丈夫なの?私はまだ勇者になってから魔王に会った事もないし、どんな人か知らないけど」
「ふふふ……そんなわたくしのお仕事まで気にかけて頂けるなんて!優しい方なのですね」
「気にかけるとか、気にかけないとかそういう話じゃないと思うんだけど……」
話がずれていることに少し疲れてくる。
すると急にリリィはパンパンと手を大きく叩いた。
その瞬間、急にこの部屋の扉がバン!と開いてたくさんの何かが入ってくる。
膝の高さぐらいのミニメイドだった。
ほとんどがリリィと同じくぴょこんとした猫耳と白のカチューシャがついているが、ごく一部のミニメイドは他の色のカチューシャをつけていた。
――小っちゃくて、すごく可愛い
にやつきが止まらない。
ほっこりと見守っていると、部屋いっぱいにずらっと並んだメイドから一人がリリィの前に出た。
よく見ると、カチューシャの色が赤だ。
ビシッと足元をそろえ背筋をピンとしながらも、両手を体の前で下ろしながらも重ねている。
子猫が鳴くような小さく可愛らしい声でリリィに話しかける。
「リリィさま。お呼びでしょうか?」
「今から少しの期間、お暇を頂きます。わたくしの代わりにこの城のお世話、お願いしますね」
「はい!承知いたしました!!」
赤のカチューシャを付けたミニメイドはクルッとひっくり返り、
「リリィ様は今からお暇を取得なさる。私たちでこの城を完璧な状態で保ちますよ!」
「「「「「「はい!!!!!!」」」」」」
1人の返事かと思うぐらいミニメイドと返事がピタッとそろう。
その後、テキパキと部屋の中からミニメイドが出て行く。
その姿を見て、頬が緩み切っている私はつい手を振ってしまう。
最後に赤のカチューシャの子が頭を下げて食料庫の扉を閉めた。
それを見届けた後、リリィは私の方を向く。
慌てて振っていた手を下げる。
緩み切った頬を戻すため、頭を振る。
「これで問題ないですね!」
「いや、どうしてそうなるの!そもそも、あなたはどうして私と一緒についてきたいの?」
「ふふふ。面白そう、というのではだめですか?」
「っ……!」
これまでになく満面の笑みでこちらを見てくる。
ここまで話した感じ、本音は話してもらえないだろう思うものの、本心である可能性も否定できないのが怖い。
なんて返事をすべきか悩んでいると、リリィは手でポンと叩いた。
「そうだ!そもそも、クロ様は魔界のことわかりますか?」
「えっ、少しぐらいならわかるけど」
「因みに、今ここはどこか覚えていらっしゃいますか?」
「えっと……魔王城」
「そうです、魔界のど真ん中です。どうやって帰られるのですか?」
「地図があれば歩いて帰れる!」
「ふふふ。その地図をお持ちで?」
「……」
何も言い返せない。
ここが魔王城であることをすっかり忘れていた。
つい顔に、困ったという感情がにじみ出てしまう。
それを見たリリィは心なしか笑みが大きくなった気がする
「わたくしもついて行って良いのであれば、その思い出の場所まで魔界最速の方法でご案内いたしますよ。もちろん、それが嫌なら止めませんが。あと、魔王城からサーフィアまで歩いて行くとかなり遠いですよ?」
「因みに……歩くとどれぐらいなの?」
「道を知っていれば、三か月ぐらいで行けます」
「……ごめんなさい、案内お願いします」
「ふふふ、素直でいいですね。なら、一緒に行きましょう!」
リリィはサッと私の方に近づいた。
気づいた時には手に温もりを感じる。
「行きますよ、クロ様!」
「ちょっと待って!そもそも、そっちは窓でしょ!?」
手を引っ張られ部屋を出るのかと思ったが、何故か反対側にあるこの部屋の大きな窓の方に向かうので、叫んでしまう。
どうして窓の方に……
まさか飛び降りるの?空を飛んでいる魔族は見たことがあるけど、リリィも飛べるってこと!?
私は必死に叫んで手を離そうとするが、リリィはニコリとするものの、その細い腕からは考えられないほど強い力でガシッとつかんで離してくれない。
リリィが小さく何かの呪文を小さく唱えると、目の前にあった大きなガラス窓がふっと消えた。
その奥に広がる、バルコニーに出た。
バルコニーには何もないものの、なぜかパーティーが開催できるぐらい広い場所だった。
すると、リリィは私の手を離して、右手の親指と人差し指でわっかを作り、口に突っ込んだ。
ぴーーーーーーーーーーー
甲高い指笛が夜の魔王城の外に響く。
指笛にこたえるかの如く、空を裂くような轟音が辺り一面に響いた。
両手で耳を閉じるが、余りの轟音に驚いて目も閉じてしまう。
音がやみゆっくりと目を開くと、目の前には……
巨大な翼をはためかせている赤い竜がその大きな瞳で私をギロリと睨んでいた。
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