広場の像
ドワーフのルドはそのまま話を続ける。
「あぁ、ちょうど半年前ぐらいだったかな。急に噂話で流れてきおった。とはいえ、ここ数年は誰も嬢ちゃんを見てないから、本当かどうかわからんがな」
「……」
まさか夢でずっと出会っていた少女が行方不明……。
会って私のことについて聞こうと思っていたのに。
それができないという事実に少し頭がくらっとする。
「まぁ、ちゃんとした真相はリリィしか知らないだろうし、話を聞きたかったらリリィから聞いてくれ」
「すみません……ありがとうございました」
「がっはっはっはっは!!あんな内気な子供だった奴から挨拶がもらえるとは。時間が立つのは早いなぁ」
「あと、申し訳ないのですが……」
ルドに頭を下げる。
「実は私、少し記憶を無くしてしまっていて……あなたの事を覚えていないのです」
「えぇ、記憶を無くした!?あれだけ嬢ちゃんと共にこの店まで来て、色々話したのに。全く覚えてない?」
「えぇ……ごめんなさい」
その言葉を聞いて、ルドはリリィの方に少し睨みながら目を向ける。
「どうしてこの子に嬢ちゃんのことをちゃんと教えてやらんのだ?」
「……来るべき時が来た時に、すべてお話しようかと」
「それはいつ来るんだ?記憶が無いなんて、あまりにもかわいそうじゃないか」
「えぇ、もちろん。わたくしもそう思っています。でも、これもあの方からのご指示なので……でも、もうそろそろだと思っています」
「嬢ちゃんからの指示……それは信じていいのだな?」
「もちろん」
ルドもリリィも全く笑わず、共に目をジッと見つめている。
そしてハァとため息をつきながら、ルドはにこやかな顔に戻って私の方を向いた。
「まぁ無くしたもんは仕方ない、ゆっくりと探しな」
「……すみません、ありがとうございます」
再び頭を下げる。
メルナと言い、ルドと言い、どうして魔族は記憶を無くしたのに私に優しくしてくれるのだろうか……
涙が出そうになるが、必死にこらえる。
すると、ルドが私たちの後ろの方向を指さした。
「記憶を取り戻したかったら、広場に行ってみたらどうだ?」
「広場……?」
私は首を横に傾ける。
隣でメルナは何かを思い出したかのように手をポンと叩いている。
「嬢ちゃんのことを追い求めているんだろ?であれば、あの像を見に行きな。もし……記憶を取り戻した時は儂のところ顔を出してくれ。その時こそゆっくりとお茶でも飲みながら色々話そうじゃないか……今は嬢ちゃんの件も含めて急ぐんだろ?」
コクリ
私は頷いた。
「道はメルナもリリィも知っていると思うから、二人に案内してもらいな」
「はい。ありがとうございました」
「あいよ。リリィもメルナも、このお友達……えぇっと」
「クロって言います」
「そうそう。クロちゃんの件が落ち着いたらまた顔を出しに来てくれ。色々言いたいことはあるからな」
「ルド様、わかりました」
「ごめんね、ルド。また来るよ!」
リリィとメルナは少し申し訳なさそうにしつつ、先を歩き始めた。
私もペコリと頭を下げて二人を追いかけた。
歩いている途中、リリィとメルナに広場のことを聞いた。
だが、二人とも何を聞いても「広場に行ってみればわかる」としか答えてくれなかった。
二人ともいつもと変わらない雰囲気だが、リリィだけは何故か少しだけ寂しそうな気がした。
この町の広場に行ったところで何がわかるのだろうか……
そう思っていると、町並みが途切れ広い広場に出た。
町の中を少し歩くと、広場に到着した。
周りには数多くの花壇があり様々な花がとてもきれいに植えられていた。
そして、手入れの行き届いた木々が一定間隔で植わっている。
たまたまだろうか、誰も周りには魔族は居なかった。
真ん中には大きな噴水があり、水が空高く舞い上がってきらめいている。
そして広場の真ん中に石で作られたであろう等身大サイズの白い像が台座の上に立ってるのが見えた。
私はその像の前まで走る。
「これって……」
その像を見て、言葉を漏らしてしまう。
そこにあったのは、少女の像だった。
にこやかにピースサインをしている。
その少女の顔には見覚えがあった。
「リンちゃんだ。夢の中だけしか見たことなかったのに、本当に居たんだ……」
そして、その少女の後ろにもう一人いることに気づいた。
恥ずかしいのかピースサインをしている少女の後ろに隠れて顔だけ少し出していた。
「この子は……」
「後ろにいるのはクロだね!あの頃から可愛い顔しちゃって!」
後ろからメルナが急に私に抱き着いてきた。
いや、そんなことより今なんて!?
「えっ……あれって私なの!?」
「どう見たってそうじゃん。クロの昔の顔にそっくりだけど」
鏡で自分自身の顔を見続けているわけではないので正直わからなかったが、よく見ると確かに雰囲気は自分に似ている気もする。
あと、人の後ろに隠れている感じなんて、昔の私そっくりだ。
いや、そんなこと、今はどうだっていい。
どうしてリンと私の像がこんなところに!?
像の全体をよく見ると、台座部分に何やら文字が刻まれていた。
だが、魔族の言葉で書かれているのか、なんと書いているのかわからない。
「メルナちゃん。この下の台座にはなんて書いてあるの?」
「えぇっとね……」
メルナが目を細めて、少し潰れ気味の文字を読もうとする。
「『この町の危機を救ってくれた二人の少女をたたえて像にする』」
リリィが後ろからコツコツと歩きながら話してくる。
そして私やメルナと同じ場所で止まり、何かを思い出すように目を細めながら像をじっと見つめている。
ゆったりとした風がみんなを優しく包み込む。
リリィが口を開いた。
「『魔王エリンフォートと、そのご友人クロ』」
「魔王エリンフォート……と私?」
「そうです。この像は魔王エリン様とクロ様の像になります」
魔王の名前を初めて知った……とかじゃない!
夢で出会っていたリンは魔王で……
その魔王と共に私はこの町を救ったことがある!?
意味が分からなさ過ぎて少しクラッとしてしまう。
「大丈夫ですか!?」
リリィが私の肩をしっかりとつかんでくれる。
「ありがとう……ちょっと状況についていけなくて」
「仕方ないことだと思います」
「ねぇリリィ、一つだけ教えて」
「……なんでしょう」
「私が探してきたリンちゃんって言うのは、魔王だったってこと?」
「えぇ、そうです、その名を魔王エリンフォート……わたくしが今、お探ししている御方になります」
リリィは少しだけ寂しそうな顔をしつつ、答えてくれた。
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