勇者パーティー
椅子に座っていたメルナも大きく頷く。
「なるほどね。魔族から人間を守れることはできるけど、魔族を攻撃することができないから、ずっと魔族の町を攻めることができなかったんだ」
「そう。あと、勇者パーティーの決定権は私にあったから、魔族の町を攻めるっていう決断ができなかったの。私がやくに立たないことが……怖くて」
「だけど、どうしてそれで勇者パーティーの崩壊につながるの?別にずっと魔族の町を守っていても別にいいと思うんだけど」
メルナは不思議そうな顔で聞いてくる。
私は首を横に振る。
「ううん、私もそう思っていたんだけど、それが上手くは行かなかったんだ。まず、ある時を境に魔族からの攻撃が止まり始めて、町を守る必要性が無くなったから」
「それっていつから?」
「私が勇者になって三年目ぐらいだと思う」
「えっ、それって今から何年前?」
「私が勇者になってから五年目だから……二、三年ぐらいまえになるかな」
「ふーん。なら、そうだろうね」
「……」
メルナは何故かうなづく。
リリィも黙ってはいるものの、何かを納得している様子だった。
二、三年前に何かがあったのだろうか。
二人の様子に納得がいかないものの、話を続ける。
「攻撃がやんだからか王様だけじゃなくて、私たちが守って平和になった町の人たちからも魔族を滅ぼせっていうプレッシャーが来るようになった」
「それはどうして?自分たちの町は攻撃されてない訳じゃん」
「魔族に攻撃されたことがある町の人たちにとっては、またいつか襲われてちゃうかもっていう恐怖があったからだと思う」
「まぁそうなるよね~」
座っている椅子を前後に揺らしながら、メルナが答える。
「で、私のパーティーは5人だったんだけど、戦士と魔法使いは魔族の町に攻め込む派。私と僧侶は魔族の町に攻め込まない派。盗賊は中立って感じで分かれちゃって」
「なら、戦士と魔法使いで勝手に攻めればいいじゃん」
私は大きく首を横に振った。
「それはもちろん提案した。私と僧侶が人間の町を守り、戦士と魔法使いと盗賊が攻め込むで良いって。でも王様が『攻撃がやんでいる今こそ攻め込むチャンスだ!勇者パーティーで行け!!』って頑なだったの」
「ふふふ。頭の固い、可哀想な王様ですね」
リリィが笑いながら話す。
目が全く笑っておらず、いつもの優しい笑いというより、怖さを感じる……
味方で居てくれる分には心強いが、敵だったら最悪かもしれない。
一旦その感情は置いといて、話を続けた。
「結局、私はパーティー内をまとめることも、魔族を攻める決定もできず……世論の風当たりも強くなって……結局各々独断で動き始めた。ただ、王様の命令の時だけは集まって行動するようになったの」
「確かに崩壊してるね……でも、それならパーティーを解散すればいいじゃん」
私は首を大きく横に振る。
「解散はできないの。勇者パーティーは女神様が決めるから勝手に人を増やしたり減らしたりもできない。私自身も、勇者になれって言われたのは女神様からだし、パーティーになる人は後で知らされたから。あと、唯一パーティーが解散できるのは、私が勇者を辞めると宣言したときだけ」
「へぇー。これまで戦って来た昔の勇者パーティーもそんな感じで決まってたんだ」
メルナは本当に初めて知ったのか、目を丸くして驚いていた。
そんなメルナを横目に、リリィが口を開く。
「クロ様。だとすると、戦士……アイクがクロ様を殺したのは……」
「アイクが言っていた通り、あいつ自身がパーティーのメンバーに話して仕組んだのだと思う。過去、王様の命令で何回か魔族の町を攻めたことがあるんだけど、結局私がみんなの邪魔をしちゃって……すべてうまくいかなかったの」
「確かに、いくつかの町でクロ様が魔族を助けたお話は、魔族の中でもかなり知れ渡っています」
「だから、アイクが言うように私を殺しちゃえば、王様の命令に対しても勇者が死んで今は居ないと説明できるし、私が復活するまでに時間がかかるから、その間だったら簡単に魔族の町を落とせるって本気で思ってたんだろうね」
「で、クロを殺したから、ラディアの町を潰そうと思った来たら……すでにクロが帰って来てて、想定以上に早くて驚いていた……と」
「だろうね。ただ、もう一つ気になっていることはあるけど……まぁいいや」
そう。
私は何回か死んだことがあるので復活するのが長いことは、一般的に知られている。
だが今回、アイクの話で一つおかしな点があった。
ただ、曖昧なのでそれについては話さないでおこう。
「まぁ、想像以上早くここまで戻ってこれたのも、僕のおかげだけどね!」
メルナは背中の羽をパタパタとはためかせる。
私は感謝を伝えるためにも、ニコリとした。
「メルナちゃん、ありがとう。本当に助かったわ」
「クロのためなら別にいいよ!」
メルナも笑顔になった。
「とはいえ今の話を聞く限り、次にアイクと会うときは本気でクロ様を殺すつもりで来るってことですよね?」
「そうだと思う。あの平原で言われた通り邪魔をしなければ何もしないけど、もし邪魔をするなら今度こそ容赦なく殺しにくると思う」
「でも、リリィがアイクを止めたんでしょ?なら、そんな大した話じゃ……」
「メルナちゃん」
メルナの言葉に対して、かぶせ気味にリリィが話を遮った。
「アイクはまだ様子見だったと思う。今回はホントたまたま会ったっぽいし、装備も十分じゃなかったって言っていたから、本気を出してないと思う」
「それは……かなり厄介ね。リリィといい勝負ができるってことでしょ?ねぇ、勝てるの??」
「えぇ、もちろん。負けることはないです。一応、魔王様の側近ですから」
「さっすがぁ!」
リリィは眉一つ動かしていないが、メルナはニコニコして囃し立てていた。
その言葉を聞いて、私はほっとした。
「なら、今後戦うことがあったらリリィにアイクを任せたいんだけど、いい?」
「もちろん……お断りします」
「えっ!?」
リリィにきっぱりと断られた。
想像していた答えと違うので、動揺してしまう。
リリィは私の目をジッと見つめながら口を開く。
「今回はクロ様がお友達で、危機だったからお助けいたしました。今後もクロ様が困った時であればもちろんお助けいたします」
「なら……」
「ただ今の話を聞く限り、わたくしがクロ様の代わりにアイクと戦って、何か解決することはありますか?」
「それは……」
口ごもってしまう。
確かにリリィがアイクと戦ったとしても、それはただの人間と魔族の戦いにしかならない。
そして私とアイク……いや、勇者パーティーとの関係は何も変わらないだろう。
リリィは直立不動のまま話を続ける。
「この問題はクロ様とアイクとの間で解決すべきことだと思います。なので、私から何かすることは一切しません」
「……」
――あぁ、だからリリィはアイクに攻撃しなかったのか。
前回の戦いで不思議に思っていたことが腑に落ちた。
アイクにずっと攻撃されていたリリィがどうして攻めずに守っていただけだったのか。
恐らくだが、アイクをあれだけ簡単にいなしていたリリィの力であれば、簡単に倒すことができただろう。
だけど、それをしてしまうと私の問題が解決しないと、私とアイクの会話を聞いて思ったのかもしれない。
私はリリィに頭を下げた。
「ごめんなさい、その通りだわ。さっきの戦いでアイクに攻撃しないでくれて、ありがとう」
「ふふふ、何のことやら。私は、クロ様に幸せになってほしいだけですよ」
いつもの笑顔で返してくれる。
ぐぅ~~
あっ……お腹が鳴っちゃった。
こんな真面目な話をしている途中なのに。
私は顔を真っ赤にしながら自分のお腹をさする。
リリィは手を口の前に当てて笑いながら、
「ふふふ。わたくしもお腹がすきました。ご飯にしましょうか」
「賛成!リリィの手料理ってめちゃくちゃおいしいんだよね。クロも一緒に食べよ!」
そう言いながら、二人は先に部屋を出た。
私も急いでベッドから出て、二人について行った。
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