『不殺の勇者』と呪い
「それは置いといて、クロが仲間と喧嘩したの!?ねぇ、どうして??」
「……」
どこから話せばよいのかわからず、悩んでしまう。
すると、リリィがフォローしてくれた。
「クロ様。別に話したくなければ話さなくても良いですよ」
「ありがとう。でも、この話は二人に聞いといて欲しいかも。今の勇者パーティーと現状について」
「ねぇ、ごめん。そもそも勇者パーティー……ってなに?」
きょとんとした顔でメルナがこちらを見てくる。
「メルナちゃんはそういう話は疎いですもんね」
「なによ!僕より弱い人に興味を持てって言われても困っちゃうからさ」
何故かメルナは胸をはる。
「ふふふ。そうなると、誰も興味持てないと思いますよ」
同感。
伝説級の赤竜であるメルナより強い人をこの世界で探す方が難しい気がする。
というかそんな人、居るのだろうか?
「それは敵の話だから!僕、クロにはめっちゃ興味があるよ!」
メルナはニコニコしながら無邪気にこっちを向いてくる。
可愛い笑顔で見つめられて、少し恥ずかしくなってしまう。
咳払いをして、ごまかした。
「コ、コホン。そもそも私がいた勇者パーティーは……ほとんど崩壊しているの」
「えっ、崩壊?どうしてなの??」
「それは全部……私のせい」
私はつい、うつむいてしまう。
「クロ、繰り返しになっちゃうけど辛かったら別に話さなくてもいいんだよ」
「ありがとう。でも、迷惑かけたくないし、どうせ私は戦うことになるから聞いておいて欲しいな」
「クロがそういうなら……」
私は頭を上げて前を向いた。
メルナは部屋の中に置いてあった椅子にちょこんと座る。
リリィは椅子があるにもかかわらず座る気が無いのか、直立不動で立っていた。
「そもそもの原因は私が魔族を殺せない上に、魔族を守ってしまうことなの」
「それ僕でも知ってる。『不殺の勇者』って呼ばれてるやつでしょ?」
「そう、それのこと」
「僕たちに魔族にとっては嬉しい話だけど、人間側にとっては確かに嫌かもね。ちなみに、
どうしてそんなことを表立ってしているの?わざわざ目立つことはせずに、こそっと助ければ済む話じゃん」
私は首を横に大きく振る。
「それが……わからないの」
「わからない?わざとみんなの前で魔族を守りたいから守っているとかじゃなくて」
「ううん、違う。勝手に体が動くって感じ」
「つまり、クロが魔族を守っていたのは別に守りたいからじゃなくて、体が勝手にそうしてたってだけ?」
「……正直に話せばそうかな。私自身は魔族を守りたいとかは一切なかったの。なんなら殺したいってずっと思ってた」
「……そう」
メルナは少しだけショックを受けているようだ。
私は慌てて付け加える
「でも今は違うよ。リリィやメルナちゃんとも出会って、いっぱいお話ができて……魔族に対しての考え方も変わってきたから。今ならこそっと守りたいかな」
「ふーん。なら良かった」
ちょっとほっとしているように見えた。
やっぱり、メルナとしては私が魔族を攻撃しているところは見たくないのかもしれない。
すると、メルナは急にリリィの方を向いた。
「ねぇリリィ、クロになんか変な呪いがかかっているか確認することはできる?」
「もちろんできますよ」
「ちょっと確認してみて」
「ふふふ、ちょっと待ってくださいね」
リリィが何やら小さく呪文を呟く。
そして指で作った四角の中から私の方を見始める。
「えぇっと……一つもないですね。魔族がかけられそうな呪いはすべて確認しましたが、どれにも当てはまらなかったです」
「そっか。てっきり、魔族側がクロに変な呪いをかけちゃってそうなったのかと思っちゃった」
「確かに、その可能性は高いですけど……逆に人間が呪いをかけている可能性はないのでしょうか?」
「どうして人間側がかけるの?」
メルナは首をかしげている。
リリィは手を口元近くに持ってきて、悩みつつ答える。
「そうですね……例えばクロ様のことがとても嫌いな人がいて、みんなから嫌われて欲しいから呪いをかけちゃう、とか」
「クロはそんな悪い子じゃないよ!」
少し怒った様子で椅子からガタンと立ち上がり、リリィにいった。
「ふふふ、もちろんわたくしも知ってますよ。でも、世の中には悪い大人も多いってことです」
「そんな悪い大人、僕が炭になるまで燃やしてやるから!」
ゴォッとメルナの口から小さな火が噴き出る。
なんて優しい子なんだろうか。
少し胸がジーンとしてしまう。
「メルナちゃん、ありがとう」
「えっ、何もしてないんだけど?」
「ふふふ。メルナちゃん、そういう時は『どういたしまして』って言っておけばいいのですよ」
「???……わかんないけど、どういたしまして!」
メルナの頭の上にハテナが飛び交っているのが見て分かる。
ただ、少し話がそれてきたので本線に戻さないと。
私は少し背筋を伸ばした。
「リリィ、呪いについては人間側でも検査したの。でも、人間がわかる範囲のどの呪いでもなかったわ」
「そうですか。ということはクロ様のその症状は人間や魔族の呪いではなく、クロ様自身の問題ってことですね」
「今のリリィの結果から、そうとしか言えなくなったわ。結局人間側では魔族側の未知の呪いだってことで話は片付いたから……」
リリィの話が本当だとすると、私が魔族を殺せないのは呪いじゃないということになる。
なら、どうして私は魔族を殺せなかったのか。
その理由は結局何もわからない。
そんな不安を吹き飛ばすかのようにメルナがニコニコしながら元気に声をかけてくれる。
「呪いじゃないってことが分かっただけで良かったじゃん!で、魔族を殺せないことで勇者パーティーはどうなったの?」
「初めは魔族から自分たちの町を守ることが最優先だったので、良かったんだ。だけど……」
「人間の王様が魔族の町を攻めたいと言い出したのですね?」
リリィがすべてを理解しているかのように話してくれる。
それに対して、私は縦に頷いた。
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