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クロとアイクの戦い

リリィは知らない間に少し離れた場所に移動していた。

二人の邪魔はしないと言いたいのか、手を前で重ね合わせリラックスした感じでただ様子を見ているだけだった。



風がゆっくりと吹き始める。

あぁ、こんな状況じゃなければ気持ちいい風なのに。

サーッという芝生の上を風が撫でる音が響く。

その音が……止んだ。



距離があったはずのアイクが一瞬で私の目の前に現れ、その剣を振り下ろす。



ギン!!!



金属同士がぶつかった時の鈍い音が一面に響く。

アイクの振り下ろされた剣を自分の剣で何とか受け止めていた。

ただ、剣が……重い!

何とか剣をはじくものの、アイクの攻撃は躊躇ちゅうちょがない。

明らかな殺気を感じる――やっぱり本気で私を殺そうとしている!



「悪いけど、もう一回死んでもらっていいかな?」

「嫌よ!私にも、やるべきことができたんだから」

「やるべきこと……さっきの記憶の話か?」



アイクの剣を押しのけ、少し距離を取る。

剣さばきでは絶対にアイクには勝てない。

だから、私の得意な領域に持ち込むしかない。



「そうよ。私の……友達との思い出を取り戻すの!」

「友達との思い出?お前は何を馬鹿なことをいってるんだ!そんなことよりしないといけないことが山のようにあるだろうが!」

「あなたに理解されなくてもいい。前に進むためにはその思い出が必要だって心が言ってる。だから、ここで死んで時間をかけるわけにはいかないの!」



剣と左手に持ちかえ、右手を空に掲げる。



雷槍サンダーランス!」



手の先に急に雷が集まり始める。

その雷は巨大な槍を形づくる。

以前魔王城でリリィに投げたそれより、数倍大きい。

いつもの大きさまで戻ってる……!



「雷槍……か。いつ見ても呆れるぐらいの大きさだな」

「そうね、この術だけは私の十八番おはこだから……申し訳ないけど、気絶してもらうからね」

「……やれるもんならやってみな」



何故か余裕を見せるアイク。

この距離だったら避けられるとでも思っているのだろうか。

それとも、私が本気で投げないとでも高をくくっているのかもしれない。

そんな考えが甘いってことを改めて認識させてやる!

雷槍を右手で握り、私の持つすべての力を振り絞ってアイクの方に投げつけた。



バチバチバチ!!!



雷特有の放電の音と共に、目に見えない速さでアイクの方に向かっていく。

流石のアイクでもこの距離と雷槍の速さを考えると完全に避けることはできない。

力もちゃんと戻っているから前回のリリィの時ように受け切ることは間違いなくできない。



であるにもかかわらず、アイクはふっと笑っていた。

雷槍がぶち当たる!!


ふっ……



雷槍がアイクに当たる瞬間、その胸元にすべて吸い込まれ、何事もなかったかのように消えた。



「えぇ……どうして……」



つい、言葉が漏れてしまう。



「こんなアイテムでも、本当に役に立つなんてな」



アイクは胸元をごそごそして何かを胸から出そうとする。

すると、煌びやかなリングが付いたペンダントが出てきた。

よく見ると、ついているリングの真ん中が金色に光って、何かが渦巻いている。



「雷魔法、特に雷槍を受け止めるだけに作った魔道具さ。城の魔道具開発チームに無理言って作らせた」

「ど、どうしてそんなものを……」

「そりゃ、お前対策だよ。別に俺はお前のことをなめちゃいない。剣術だけなら負ける気はしねぇけど、雷槍を出されると正直五分だと思ってる。だから前回、お前を殺すときに念のためずっと着けてた。たまたま形が好きでそのまま着けていただけだが、こんな場所で使うことになるとはね」



そう言うと、アイクは剣を構えて再び一瞬で間合いを詰めてきた。

私も剣を構え、剣をギリギリでさばく。

すると突然、脇腹に思い衝撃が走る。

ドスッ……

アイクは剣の攻撃をフェイントに鋭い蹴りを放ってきていた。



「ゴフッ……」



剣ばかりに意識を持っていかれていたので、アイクの蹴りが無防備の脇腹に入ってしまう。

その強い衝撃に剣も手放してしまった。

そして、遠くにゴロゴロと蹴り飛ばされた。



ゲホッゲホッ……



起き上がろうとしたときに、むせてしまう。

口を切っていたためか、血まで少し吐いてしまう。

むせるのが止まり頭を上げると、目の前に剣を私の首元近くでピタッととめているアイクが立っていた。



「チェックメイト……だな。死ぬ前に何か言い残すことは?」

「どうして……私は何度も殺されないといけないの?」

「それは……」



アイクは目を細め、珍しくためらいつつもはっきりと答える。



「お前が魔族すら殺せない、「不完全な勇者(ふさつのゆうしゃ)」だからだな」



その言葉を聞いて、私の頬には涙が伝った。

涙声になりつつもアイクを睨んで叫ぶ。



「魔族が殺せないことは罪なことなの!?」

「……一般の人であれば普通だ。だが……お前は普通じゃない。だって、勇者だろ?」

「勇者になんて、なりたくてなったんじゃない!」

「なら、やめればいい。女神に言えば、勇者を辞めることはできるはずだろ?」

「今まで私を育ててくれた……私を信じてくれた人の想いを無下にする選択なんて、私にはまだ選べない!!」



ハァ……



アイクは大きくため息をついた。

これまでに見たことが無いほど冷たい目で私を見つめる。



「都合がよすぎないか?みんなの想いを大切にしたい、けど、魔族も殺せない。そもそも、みんなの想いってなんだ?もしそれが魔族を滅ぼすことだとしたら……お前は誰の期待も果たせていないんだぞ」

「……」

「もういい、面倒だ。一回、死んでからゆっくりと考えてくれ。お前にはその義務がある」



そう言うと、アイクは剣を振り上げた。



「勇者として……何を成し遂げるのかを明確にする義務が」



そういうと、ヒュッ!と空気を切る音が聞こえる。

わたしは全てをあきらめ、目を瞑った。

次、復活するのはいつだろう。

また、魔王城の食料庫だと嫌だな。

次はリリィやメルナもいないだろうし、次こそ私はどうなるかもわからない。



そう思った瞬間、風がそばを通りゆっくりと私の頬を撫でた。


ここまで読んで下さりありがとうございました。

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