第49話 ポイントを増やそう大作戦
「……ダンジョンでポイントも結構使ったからな」
天界・円卓の間。
統括は腕を組み、タブレットのポイント残高を眺めながら深くため息をついた。
「ドワーフ国のダンジョン設営、修復、調整……あれやこれやで、だいぶ減ったぞ」
「とはいえ、必要経費じゃな」
クロノスがゆったりと頷く。
「だが、補充も考えねばならぬのぅ」
「つまりだな」
統括が顔を上げる。
「ポイントを増やそう」
「おお!」
「いいね!」
「さんせー!」
一斉に盛り上がる神々。
「で、どうやって?」
ウェヌスが首をかしげる。
「そこなんだよ」
統括は困った顔になる。
「祈りを増やせばいいのは分かってる。でもさ……」
一瞬、言葉を選び。
「『俺たち神の名前で祈れ!』って言うの、ダサくない?」
「それはダサい」
即答するウェスタ。
「完全にダサい」
ヘルメースも頷く。
「押し売りじゃのぅ」
クロノスも苦笑する。
「だろ?」
統括は机を叩いた。
「だから自然に、好感度を上げたい!」
「つまり?」
アウローラがにやりと笑う。
「地道に活動だ」
統括は立ち上がる。
「教会に顔出して、善行して、信頼を積む!」
「なるほど!」
「正攻法だね!」
だが――
「……それで、なんでタンクトップなんですか?」
全員の視線が、統括に集まる。
「いや、ほら」
統括は自分の黒タンクトップを見下ろす。
「筋トレは世界共通言語だろ?」
「意味がわからない」
ウェスタが即座に切り捨てた。
同時刻・人間界・大聖堂。
「……許せん」
教皇は、こめかみを押さえていた。
「神の名を騙る不審者が、筋肉を誇示しながら教会をうろついているだと?」
報告に来た司祭が青ざめている。
「は、はい……しかも、タンクトップ姿で……」
「冒涜だ」
教皇は震える声で言った。
「神は高潔で、崇高で、筋肉など――」
そのとき。
「おーっす!」
明るい声が響いた。
振り向くと――
正義君を使った
タンクトップ姿の集団がいた。
「……誰だね君たちは」
「俺たち?」
統括は親指で自分を指す。
「善行しに来た一般市民です!」
「は?」
教皇の思考が止まる。
その後ろでは、
・腕立てを始めるヘファイストス
・スクワットするアウラ
・なぜか柔軟体操するデーメーテール
・無言で腹筋するヘルメース
そして――
「これで父上よりも筋肉をつけるんだ!」
ぶかぶかのタンクトップを着たエレブスが、
小さな体で必死にダンベルを持ち上げていた。
「……あれは、子供では?」
「息子です!」
統括が爽やかに答える。
「教育上どうなんだそれは!?」
教皇の叫びが、大聖堂に響いた。
結果。
祈りは――
「なぜか増えた」
天界でタブレットを見つめながら、統括は首を傾げる。
「怒られたのに.....理由が分からん……」
「神だとバレて、神々が体を鍛えている姿が尊い、とか?」
アウローラが笑う。
「世の中わからんのぅ」
クロノスは湯呑みをすすった。




