表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/103

第45話 ごべんばざい



「ごめんなさい」

その言葉と同時に、統括は迷いなく土下座をした。

しかし、その前に――。

口を半開きにしたまま、完全に思考が停止している神が一柱いた。

土の神、テレスである。

(……え?)

状況が理解できない。

いや、正確には、理解したくなかった。


――時を、少しだけ戻そう。

「今日がダンジョンの初稼働日だ! テレスが頑張って作ったからな!」

円卓の前で、統括はいつものように胸を張っていた。

その隣には、腕を組みながらも耳まで赤くなっているテレスが立っている。

「……ちゃんと、設計通りです。安全対策も万全です」

「うんうん、分かってる分かってる」

そう言われて、テレスは少しだけ胸を張った。

(頑張った。本当に頑張った)

「もう三分もすれば稼働します」

「よし、じゃあ準備するか!」

統括はそう言うと、床に置いてあった人型の人形――

アバター人形・正義君一号に、迷いなく魔力を流し込んだ。

カチリ、と空気が変わる。

「このために作ったんだからな。一番乗りは俺だ」

正義君一号がゆっくりと動き出し、転移魔法を自分自身にかける。

次の瞬間、その姿は下界――ドワーフ王国のダンジョン入口前へと消えた。

天界の窓に映るその光景を、テレスと鍛冶の神ヘファイストスが並んで見ている。

「……頼むぞ」

「……壊すなよ」

二人は顔を見合わせ、小さく頷いた。

他の神々も、皆どこか緊張しながら、しかし笑顔で窓を見つめている。

「では、カウントダウンいきます」

ウェスタの声が、静かに響いた。

「5」

「4」

「3」

「2」

「1」

一瞬の静寂。

「――ダンジョン、起動しました」


下界。

ダンジョンの巨大な扉の前で、正義君一号――

中身は統括が操作しているアバターが、腕を大きく振り上げた。

「たのもーっ!」

勢いよく扉を叩く。

――次の瞬間。

ドンガラガシャァァァァン!!!

あり得ない音がした。

扉が、飛んだ。

ただ開いたのではない。

吹き飛んだ。

あり得ない勢いで宙を舞い、

あり得ない角度で跳ね、

あり得ない速度で壁に叩きつけられる。

さらに、内部構造が悲鳴を上げる。

ガラガラ……

ドゴォン……

ミシミシ……バキィッ!

設計されたはずのダンジョンが、

音を立てて崩れ始めた。

正義君一号は、その場で微動だにせず立ち尽くしていた。


天界。

魔法リンクが一度、ぷつりと切れる。

次の瞬間――。

「ごめんなさい」

統括は、床に額を擦りつけていた。

テレスの耳には、崩壊音と同時のその言葉がこう聞こえた。

「ごべんばざい 」

(……え?)

理解が追いつかない。

「ちょ、ちょっと待って!」

ウェヌスが叫ぶ。

「正義君一号が! 衛兵に連行されてる!」

「え? あ、ほんとだ」

天界の窓には、

瓦礫の前で立ち尽くす正義君一号を、

ドワーフの衛兵たちが囲んでいる姿が映っていた。

「……ちょっと行って来る」

統括は、何事もなかったように立ち上がり、再び魔力を流す。

リンクが繋がる。


下界。

正義君一号は、衛兵たちに囲まれながら、

ただ、ぼんやりと立っていた。

「……」

何も言わない。

言えない。

天界の窓の前で、テレスはその光景を見つめるしかなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ