第43話 まだまだダンジョン設計会議
短いです。
「え~っと、次の議題は――」
「ちょ、ちょっと待って」
「ん?」
「いやレベルの事は? おかしいでしょそんなレベル」
「え? そうか? 誰だっていくぞ、筋トレしてれば」
「え? いや、え~?」
困惑するウェヌスをよそに、統括は気にも留めない。
「じゃあ次行くぞ~。テレス、安全対策の方は?」
「は、はい。ヘファイストスと相談して、安全対策はモンスターのドロップ品にダンジョン用帰還石を多めに設定します。危なくなったら自己判断で即帰還できる仕様です」
「いいね。逃げる判断ができるのも実力だ」
「次はそのドロップ品と宝箱、トラップ関係だな。ヘファイストス」
「おう。ドワーフ王国に出来るダンジョンなんで、鉱石を多めに、魔物素材、武器、防具を中心にする。マジックアイテムは控えめに」
「食料は?」
「1階、6階、11階に保存のきく食材を多めに配置する。初心者でも無理しなければ生き残れる設計だ」
「トラップは?」
「軽めだな。階層ごとにセーフティーゾーンも設けるぞ」
「よし。大体こんな感じかな?」
統括が円卓を見渡す。
「質問ある人」
「はい」
静かに手を挙げたのはエレブスだった。
「父上、僕も筋トレすれば、父上みたいになれますか?」
「いや、なれない」
「えっ!」
「父さんより、ずっと強くなるぞ」
「……はい! 頑張ります!」
そのやり取りに、アウローラが両手で口を押さえる。
「ヤバい、尊い」
「それな!」
デーメーテールが即座に同意した。
一方、ウェスタは腕を組み、少しだけ安堵したように微笑む。
(……ちゃんと“父”してる)
ダンジョン設計会議は、今日も平和だった。
――なお、筋トレの是非については、誰もこれ以上触れなかった。




