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脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


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第40話 それぞれの神界



――エレブス視点

円卓の下は、相変わらず落ち着く。

神界は眩しい。

光が多くて、音も多くて、感情も多い。

だから、ここがちょうどいい。

……でも。

最近、少しだけ違う。

円卓の上から聞こえてくる声が、前よりもはっきりと聞こえる。

聞こうとしなくても、自然と耳に入ってくる。

父上――統括の声。

昔は、遠くて、よく分からなかった。

大きくて、うるさくて、何を考えているのか分からない神。

でも。

戦場から帰ってきた時。

怒って、悔しがって、下界を睨んでいた姿。

あれを見て、胸の奥がざわついた。

――ああ。

この人は、全部を背負っているんだ。

怖いのは、敵じゃない。

失うことなんだ。

そう思ったら、円卓の下が急に狭く感じた。

だから今日は、少しだけ前に出た。

「……父上」

声は小さかったけれど、ちゃんと届いた。

母上――アウローラが、ぱっと振り向いた。

目を丸くして、それから一気に破顔する。

「ちょ、エレブス!? 今、母上って言った!?」

……眩しい。

でも、不思議と嫌じゃなかった。


――アウローラ視点

もうね、無理。

尊い。

円卓の下から出てきたエレブスが、

まぶしそうにしながらもちゃんと前を向いて、

「母上」

とか言うんだよ?

何それ。

反則でしょ。

即、抱きついた。

「成長したねぇぇぇぇ!!」

「ちょ、母上……!」

抵抗は弱い。

最高。

昔はね、私の光が強すぎたんだと思う。

だから、あの子は隠れちゃった。

でも今は違う。

自分の意志で出てきた。

父親を見て、憧れて。

……いいじゃん。

神界も、ちゃんと変わってる。

「ねぇ、エレブス」

「……なに?」

「暑苦しい父上、どう?」

一瞬考えてから。

「……嫌いじゃない」

はい優勝。


――ヘルメース視点

……ふーん。

なるほどね。

統括、最近ちょっと評価上げすぎじゃない?

顕現して、戦争止めて、奇跡起こして。

挙句の果てに子どもたちの尊敬まで集めて。

ずるくない?

ウェスタは相変わらず右腕ポジションだし。

水のウェヌスも仕事できるし。

ならさ。

「パパァ?」

呼んでみた。

振り向く統括。

一瞬フリーズ。

「……何?」

「別に? 尊敬してるだけ?」

近づく。

距離、詰める。

……お、引いてる引いてる。

ふふ。

こういう反応、嫌いじゃない。

ウェスタが鋭い目でこっち見てるけど。

知らない。

尊敬の形は、人それぞれでしょ?

それに――

この神界、ちょっと面白くなってきた。


――ウェスタ視点

……騒がしい。

でも、悪くない。

円卓を見渡す。

エレブスは前に出てきた。

アウローラは嬉しそう。

ヘルメースは相変わらず自由。

統括は――。

少し疲れているけど、顔は前を向いている。

責任を背負う背中。

それを理解する者が、増えてきた。

「……はい」

頷く。

この神界は、まだ未完成だ。

だからこそ、守る価値がある。

ダンジョンも、ポイントも、火種も。

全部、これから。


――クロノス

円卓の端で、茶を啜りながら。

若い神々を眺める。

出てくる者。

ぶつかる者。

探す者。

そして、見守る者。

「……孫たちも、確実に成長しておる」

誰にともなく呟く。

しわだらけの手で、湯のみを置く。

「やはり――」

少しだけ笑って。

「若さよなぁ」

神界は今日も、少しだけ賑やかだった。



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