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脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


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第25話 魔王、決意する



静寂は、魔族の城にとって日常だった。

重厚な石壁。

天井から垂れる魔力結晶が、紫の光を静かに揺らす。

玉座に腰掛ける魔王は、じっと世界を見ていた。

――否。

見ていたのは、神だ。

「……戦の神」

低く、確信を込めて呟く。

あの日。

夜を裂いて現れた存在。

白い外套。

いや――今思えば、

あれは戦士の装束だったのだろう。

圧倒的な筋肉。

魔力を一切使わず、

一歩で魔王の間合いに踏み込んできた存在。

「……間違いない」

魔王は、拳を握りしめる。

「あれこそが、戦の神」

そして、

自然と脳裏に浮かぶもう一柱の神。

炎を司り、

神界を束ねる女神。

「……創造神」

その名を、

はっきりと口にする。

「ウェスタたん……」

胸の奥が、熱を帯びた。

あの威厳。

あの冷静さ。

神々を統べるにふさわしい存在。

「戦の神を倒せば……」

魔王は、確信する。

「創造神は、きっと俺を認める」

「ウェスタたんは……

 俺のものになる」

魔王は立ち上がり、

巨大な鏡の前へ進んだ。

映るのは、

魔族の王として完成された肉体。

だが――

「……足りない」

呟きは、迷いを含まない。

「戦の神に、届かない」

魔王は、静かに息を吸う。

「神は、魔力だけではない」

「力だ」

「鍛え上げられた肉体こそ、

 神に選ばれし証」

決意は、固まった。

下界。

魔王は玉座の前に立ち、

将たちを見下ろす。

「魔族全軍に告げる」

低く、重い声が響く。

「我らの敵は、戦の神」

「その神を超えるため、

 我らは力を鍛える」

将たちが息を呑む。

「……魔力ではない」

「筋肉だ」

沈黙。

だが、魔王の目は本気だった。

「神は、肉体で語る」

「ならば我らも、

 神の言葉で応える」

一拍の後、

魔王は冷たく言い放った。

「まずは人間どもを、根絶やしにする!」

城の奥で、

歯車が音を立てて噛み合う。

――誤解は、

――信念へ。

――信念は、

――戦争へ。

この日、

魔族と人間の対立は、

もはや避けられぬ運命となった。

そして誰も知らない。

戦争の引き金が、

一人の神の筋肉と

二重の盛大な勘違いにあることを。



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