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脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


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閑話05 外出禁止中の統括




神界。

統括の私室。

外出禁止。

扉は開かない。

転移陣は封印済み。

非常口? 論外。

「……暇だ」

天井を見上げて、ぽつり。

やることは一つしかない。

筋トレ。

部屋の中央には、

神界特製・可変重量式ベンチプレス。

「ベンチプレス最近使ってた3トンの部屋に入らないんだよな。」

独り言が、むなしく響く。

以前は、専用トレーニングルームで

3トン設定を余裕で回していた。

だが今は――

「ここ、狭い……」

天井との距離が近い。

バーを上げるたび、微妙に不安になる。

それでも。

「……いくか」

設定重量、2トン。

バーを握る。

持ち上げる。

ギギギ、と空気が震える。

「……軽い」

ため息。

「もっと乳酸貯めないと」

回数を増やす。

一回。

二回。

十回。

五十回。

汗が、床に落ちる。

神だから老化しない。

神だから壊れない。

――だからこそ、終わらない。

「これ、罰として合ってるのかな……」

腕はパンパン。

胸も張っている。

でも。

頭の中は、

円卓での視線を思い出していた。

ウェスタの静かな声。

アウローラのジト目。

全員の、無言の圧。

「……反省はしてるんだけどなぁ」

バーをラックに戻し、

大の字で床に倒れる。

天井を見る。

「外出禁止って、

 精神的に効くね」

少しだけ、苦笑。

――その時。

ドアの向こうから、声。

「統括?」

ウェヌスだ。

「筋トレ、しすぎてません?」

「してる」

即答。

「ほどほどにしてください」

「筋肉が言うこと聞かなくて」

「……そういう問題じゃありません」

ため息の気配。

「食事、置いておきますね」

「ありがとう」

足音が遠ざかる。

一人になる。

「……」

統括は、ゆっくり起き上がった。

「もう一セットだけ」

バーを握る。

「反省は、してる」

持ち上げる。

「でも」

ぐっと、力を込める。

「筋トレは、

 別腹なんだよね」

今日も神界は平和。

そして。

統括の外出禁止は、

まだ――

始まったばかりだった。



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