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脳筋消防士、死んだら神にスカウトされた  作者: antomopapa


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第23話 正座会議フル説教



神界。

円卓の部屋。

統括――

いや、創造神は、正座していた。

畳はない。

床は白く、冷たく、どこまでも硬い。

「……どうも皆さんこんばんは」

誰も返事をしない。

「創造神です」

沈黙。

「えーと……」

視線が痛い。

円卓を囲む十の神々。

火、水、風、土、光、闇。

農、鍛冶、食、魔法。

全員が、無言でこちらを見ている。

「……壮観ですね」

言った瞬間、

空気が一段階、冷えた。

「しゃべっていい?」

即答はない。

「……まだ?」

ウェスタが、静かに口を開いた。

「駄目です」

「はい」

背筋を伸ばす。

正座が、きつい。


「では」

ウェスタが、淡々と言う。

「何が問題だったのか。

 統括自身に説明してもらいましょう」

「え?」

「言語化できない失敗は、

 また繰り返します」

「……」

逃げ道がない。

「えー……」

喉を鳴らす。

「人間側だけ導くのは不公平かなって思って……」

その瞬間。

「思った」

アウローラが、にこやかに言った。

「思っただけで、

 行動に移したんだ?」

「……はい」

「しかも」

アウラが、腕を組む。

「夜中に、こそこそ?」

「……はい」

「しかも」

テルスが、ぼそっと。

「……非常口から?」

「……はい」

「しかも」

エレブスが、低く。

「……正規転移を使わず?」

「……はい」

一つ一つ、

杭を打たれていく。


「統括」

ウェヌスが、静かに言う。

「公平性を理由にするなら、

 手続きと共有が必要です」

「……」

「あなたは」

デーメーテールが続ける。

「いつも善意だけど、

 独断が多すぎる」

「……はい」

「あと」

ヘファイストスが、眉をひそめる。

「魔道具」

「はい」

「オーバーテクノロジー」

「はい」

「三つずつ」

「はい……」

クロノスが、腕を組んで頷く。

「ワシの若い頃でも、

 もう少し慎重だったぞ」

「まだ若いですよね?」

「黙れ」

「はい」


「統括」

ウェスタが、視線を落とす。

「あなたは、

 止められる存在がいない」

胸に刺さる。

「だから」

「はい」

「私たちが止めます」

一斉に、頷き。

「……はい」


アウローラが、少し身を乗り出す。

「ねえ」

「はい」

「タンクトップで顕現した理由、

 何?」

「……人前に出るから?」

「神が?」

「……はい」

「筋トレ推奨までしてたし」

「……はい」

「タンクトップだし」

「……はい」

「反省、してる?」

「……してます」

「どのくらい?」

「……かなり」

「筋トレ何日休む?」

「……三日?」

「少ない」

「一週間!」

「少ない」

「……一ヶ月?」

一瞬、

神々が顔を見合わせる。

「……まあ、いい」

アウローラがため息をついた。


「結論です」

ウェスタが言う。

「今後」

「はい」

「直接顕現は禁止」

「はい」

「魔道具の配布は全会一致制」

「はい」

「非常口使用禁止」

「はい……」

「そして」

一拍置いて。

「一年間、外出禁止」

「……はい」

「部屋から出たら」

原初の神の声が、

背後から響いた。

「――見てるからな」

「っ!?」

振り向く前に、

空間が閉じる。


静寂。

円卓の部屋。

「……」

「……」

ウェヌスが、ぽつり。

「統括」

「はい……」

「正座、もういいですよ」

「え?」

「今日は」

アウラが言う。

「ここまで」

「……」

ゆっくりと、立ち上がる。

足が、しびれている。

「……ごめんなさい」

深く、頭を下げた。

誰も、笑わなかった。

でも。

誰も、怒鳴らなかった。


その夜。

自室。

ベッドに倒れ込みながら、統括は思う。

(……やりすぎた)

天井を見つめる。

(でも)

窓の向こう。

静かに回る世界。

(ちゃんと、

 前に進いてる)

拳を、握る。

「……次は、

 間接的にやろう」

誰も聞いていない。

だから。

その言葉は、

きっと――フリじゃない。



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